「世界初」量子着想のアルゴリズムを自律ロボットに搭載:障害物回避など高度な制御が可能に(2/2 ページ)
東芝とミライズテクノロジーズは、東芝独自の量子インスパイアード最適化計算機「シミュレーテッド分岐マシン(Simulated Bifurcation Machine、SBM)」を、ミライズテクノロジーズが開発した自律移動ロボットに搭載し、自律移動体の高度な制御へ適用する有効性を実証したことを発表した。
量子着想のアルゴリズムをFPGAに実装
そこで東芝は、SBMを活用した「多体物体追跡アルゴリズム」を開発し、同社独自の回路設計で組み込み向けFPGAに実装。そのFPGAをミライズテクノロジーズが自律移動ロボットに搭載し、リアルタイムでの自律移動が可能であることを実証した。この実証は、複数の動的障害物を回避しながら経路選択を行うというものだ。
多体物体追跡アルゴリズムは、複数の物体(人やクルマ、障害物)が同時に動き、頻繁に交差したり互いに隠されたりする環境でも、個々の物体を見失わずに追跡し続けられるアルゴリズムだ。
従来の手法では、物体同士が重なったり一時的に見えなくなったりすると、追跡が途切れたり誤認識が発生したりするという課題があった。これは、「検出済みの物体」と「今見えている物体」を1対1でマッチングさせるためだ。対して東芝の手法では、組み合わせ最適化問題を用いて、1対多のマッチングを行う。これによって交差や遮蔽が生じても再追跡でき、物体の移動予測の精度が向上する。
検出精度/追跡精度の評価指標であるHOTA(Higher Order Tracking Accuracy)を用いた評価では、東芝の手法は従来手法に比べて、一般的な多体物体追跡のベンチマーク問題では4%、長期遮蔽の評価に特化したベンチマーク問題では23%、精度が向上したという。
複数台の協調制御や複雑環境への対応を目指す
今後、東芝とミライズテクノロジーズは、自動運転車やロボットの自律制御の分野でSBMの応用範囲を広げ、複数台の協調制御やより複雑な環境での経路最適化、リアルタイムなタスク割り当てなどへの対応を目指す。将来的には工場や倉庫の搬送ロボット、建設/農業分野の自律作業機、スマートシティーやインフラ監視、エネルギー管理システムなどへの適用を視野に入れる。
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