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中国が「半導体製造装置の自給自足」に苦戦している理由(後編)EUV露光装置には数十年単位の壁(1/2 ページ)

中国が国内半導体メーカーに対し、新工場を建設時に前工程製造装置(WFE)全体の少なくとも50%を国内メーカーから調達することを実質的に義務付けているという。中国のプレイヤーは本当に欧米の競合に付いていけるのだろうか。

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「前編」はこちらから

露光以外の装置で進む置き換え、部材国産化も加速

 Reutersが2025年末に報じたところによると、中国は国内半導体メーカーに対し、新工場を建設時に、前工程製造装置(WFE)全体の少なくとも50%を国内メーカーから調達することを実質的に義務付けているという。

 非公式とされる「国産装置50%要件」は、地場のSPEメーカーを確かに後押しし得るだろう。しかし議論の中心は、先端ノード製造に向けたWFE自給自足において、中国が現実的にどれほど速く、どこまで前進できるのか、という一点に集約される。

 ACM Research、AMEC、Nauraの急速な売上高成長は、装置需要が高いことだけでなく、これらの企業が世界水準の洗浄、成膜、エッチング、めっき装置を製造していることにも起因する。

 Jon Peddie Researchの社長であるJon Peddie氏はEE Timesに対し「(これらの装置は)露光とは別のベクトルだ。求められているのは清浄度であり、プロセスがどれほどの汚染原子を許容できるかという話だ」と語った。

 Hutcheson氏は「成膜、エッチング、洗浄、アニールといった装置分野では、中国サプライヤーは既に十分に競争力のあるシステムを持っている」と述べた。

 この結果、露光以外の装置では置き換えが既に進んでいる。ただし重要な留意点がある。中国で製造される装置の相当部分は、依然として西側サプライヤーから調達する部品に依存している点だ。これらの部品の多くは輸出規制の対象になっているか、近い将来に同様の規制に直面すると見込まれている。従って中国企業は、こうした部品を遅かれ早かれ代替しなければならない。

 輸出入規制は、別の変化も加速させた。部品レベルの国産化だ。ここ数年で中国の装置メーカーは、ポンプ、マスフローコントローラー、その他のサブシステムについて、非米国製の代替品を適格化してきた。完全に海外由来を排除するのは複雑であるものの、米国部品への依存は多くのケースで1桁台前半にまで低下したと、複数のアナリストが米国EE Timesに語った。

露光装置は成熟ノード止まりか

 一方で、中国最大の露光装置メーカーであるShanghai Micro Electronics Equipment(SMEE)が製造できるステッパーは90nm、110nmなど、より成熟したノード向けのレベルにとどまっている。2023年末には、28nm対応の液浸ArF 深紫外線(DUV)露光装置「SSA/800-10W」の開発進展に関する主張も出たが、同社は装置性能を開示していない。また、デモモードで28nmのパターンを解像することと、量産で毎時200枚のウエハーを安定的に処理することは本質的に別物だ。さらにSMEEは、この装置の量産が始まったとは一度も言及していない。

 このほか、SMICがShanghai Yuliangsheng Technologyの28nm対応装置をテストしていたとの報道もあったが、このスキャナーが量産にどれほど近いのかは不明だった。この装置は、2008年のASML「Twinscan NXT:1950i」に似た能力を備えていると思われる。こうした状況から、露光装置と先端検査装置は中国の半導体産業にとって引き続きボトルネックとなっている。

 一部の中国工場が、ASMLの「Twinscan NXT:1980i」のステージをアップグレードし、重ね合わせ精度、スループット、実効解像度を改善しているという点は驚くことではない。部品は中古市場から調達している。現時点では、彼らが既に運用しているものより良い何かを得る方法は、これが唯一の方法なのかもしれない。

 Peddie氏は「手持ちの技術や部品を使うしかない」と述べた。

 こうした取り組みの追加的な利点として、工場(あるいは国内サプライヤー)のエンジニアが、これらの部品をリバースエンジニアリングし、既存装置向けのスペアパーツを製造しようと試みることができる点が挙げられる。これによってASMLや他の西側サプライヤーへの依存を減らし、場合によっては解消できる。

 Hutcheson氏は「中国の加工技術を考えると、既存装置の部品を複製してスペアを再生産するのは比較的容易だ。必要なのは、部品を複製するための既存装置だけだ。難しいのは、特殊コーティング、設計された材料システム、そしてソフトウェアの習熟だ」と述べた。

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