「モデル圧縮機能」でメモリ制約を解消 EMASSのエッジAI SoC:embedded world 2026(2/2 ページ)
EMASSは、0.1〜5mW動作で30GOPSの演算性能、最大12TOPS/Wの電力効率を実現するエッジAI SoC(System on Chip)「ECS-DoTE」を開発。欧州最大規模の組み込み技術展示会「embedded world 2026」(ドイツ・ニュルンベルク/2026年3月10〜12日)でデモを展示した。
さまざまなデモで示すECS-DoTの可能性
今回、会場では実際の用途を想定したさまざまなデモを展示していた。
振動センサーを利用した産業設備の予知保全デモでは、慣性計測ユニット(IMU)を用いて機械の振動を監視し、異常が発生すると検知する仕組みを示した。ECS-DoTによって、エッジ側でリアルタイムの設備状態監視が可能となり、センサーデータはデバイス上で処理され、SemtechのLoRaWANを通じて送信。クラウドに依存せずスケーラブルな産業監視を実現するといういうものだ。Smyser氏は「このチップは超低消費電力で、常時センサーを監視し、異常を検知するとAI推論を実行する。例えば工場設備に取り付ければ、振動や温度、音などを遠隔で監視できる」などと説明していた。
このほか、音響AIを用いたセキュリティ用途のデモでは、マイクで環境音を常時監視し、銃声やガラス破壊音といった異常音を検出する様子を紹介した。
さらに骨伝導オーディオセンシングによる耳装着型のアプリケーションデモでは、IMUを通じて顎の動きを解析し、音声活動検出やキーワードスポッティングを実行する様子も公開。このアプリケーションでは常時マイクを使用する必要が減ることで、コンパクトなウェアラブル機器でプライバシー性が高く低消費電力の音声操作が可能になるとしている。
なお、EMASSでは社内にAIモデルの開発能力も有する他、独自SDKも提供する。Smyser氏は「顧客はさまざまな形式で作成したモデルを取り込み、当社のSDKで最適化してチップ上で最も効率よく動作させられる」と語っていた。
CS-DoTは2026年第2四半期に量産を開始する予定で、既に複数の機器メーカーによる評価が進んでいるという。また、同社は16nmプロセス採用の次世代品についても、2026年1月にテープアウトに成功したことを発表している。
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