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日本の「おもてなし」はヒューマノイドに取って代わるのか「CES 2026」で読み解く――サービスロボットの分水嶺(3)(2/2 ページ)

今回は、ヒューマノイドロボット分野における日本企業の勝ち筋を探る。ヒューマノイドロボットの開発やサービスの導入において、日本企業が持つ強みや付加価値はどこにあるのか。

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未完成市場だからこそ、入る余地がある

 CES 2026で、中国や韓国による多数のヒューマノイドロボットの展示が圧巻だったのは事実だ。第2回でも言及したが、公式統計によれば、CES 2026のヒューマノイドロボティクスカテゴリーには38社が参加し、そのうち21社(55%)が中国企業であった。55%が中国企業という数字は、この分野における中国の存在感を如実に示している。韓国も国を挙げてK-Humanoid Allianceを立ち上げ、2030年までの世界リーダー入りを目指している。

 では、日本は出遅れたのか。

 必ずしもそうとは言えないと、筆者は考えている。CES 2026で明らかになったのは、ヒューマノイドロボット市場はまだ「未完成」だということだ。各社とも派手なデモンストレーションを行っていたが、実際に現場で稼働している例はまだ限られている。動作スピードは人に及ばず、複数タスクの連続実行も難しい。

 日本のサービス産業側に求められるのは、単なるコストカットや人手不足の穴埋めではなく、日本の文化である「おもてなし」や顧客価値を損なわないロボット導入の設計だ。「ロボットを入れたからサービスの質が下がった」ではなく、「ロボットを入れたからこそ、人がより価値の高いサービスに集中できるようになった」という設計が求められる。

 そして日本のサプライヤーやメーカーに求められるのは、日本のサービス業における付加価値の重要性を理解した上での製品開発だ。価格競争ではなく、「おもてなし」「信頼性」「省スペース」「協働」といった日本的な価値を技術で実現することが、グローバル市場での差別化につながる。

 第2回で紹介した早稲田大学発のスタートアップであるXELA Roboticsのように、日本発の技術が海外で評価される例も出てきている。この会社は顧客の75%以上が日本国外だ。日本の技術力とサービス業における価値観を組み合わせれば、十分に世界と戦っていける領域ではないかと考える。

第2回で紹介したXELA Roboticsのデモ。同社の3D触覚センサー「uSkin」は最大1.5kg、解像度0.1gで力を計測できる[クリックで拡大]
第2回で紹介したXELA Roboticsのデモ。同社の3D触覚センサー「uSkin」は最大1.5kg、解像度0.1gで力を計測できる[クリックで拡大]

 CES 2026は、ロボットが「いつか来る未来」から「今まさに来ている現在」に変わったことを示していた。日本企業がこの変化にどう向き合うか。答えは一つではないが、少なくとも「様子見」を続けている余裕はないことだけは確かだ。

著者プロフィール 神村優介(かみむら・ゆうすけ)

シェイプウィン株式会社代表取締役。徳山高専卒業後、セガトイズにて企画・マーケティングを担当。2011年にPRマーケティング会社、シェイプウィン株式会社を創業。スタートアップや成長企業を中心に、事業フェーズに応じたPR・マーケティング支援を行ってきた。

2020年から海外へビジネスを展開し、現在は世界14ヵ国・250社以上の企業に対し、日米市場向けのPRマーケティングを支援している。現在は、カナダ・バンクーバーを拠点に活動し、北米の生活者視点や市場動向を踏まえ、テックやマーケティング分野を中心に、国内外メディアへの寄稿・解説も多数。


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