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GAAトランジスタで量子ビットの状態を読み取る、帝京大:量子コンピュータ低コスト化に期待
帝京大学の研究チームは、量子コンピュータの読み出し回路にGAAトランジスタが活用できることをシミュレーションにより実証した。GAAトランジスタはスマートフォンなどに使われていて、量子ビットの状態を読み取るセンサーとして活用できれば、高価な特殊素子を使わなくて済むという。
特殊素子を使わずに量子コンピュータの読み出し回路を実現
帝京大学理工学部データサイエンス学科の棚本哲史教授らの研究チームは2026年4月、量子コンピュータの読み出し回路に「GAAトランジスタ」が活用できることをシミュレーションにより実証したと発表した。GAAトランジスタはスマートフォンなどに使われていて、量子ビットの状態を読み取るセンサーとして活用できれば、高価な特殊素子を使わなくて済むという。
量子コンピュータを実現していく上で、大きな課題となっているのは「量子ビットの状態を読み取るセンサーをどのように作るか」だという。研究チームは今回、スマートフォンやAIチップに採用され始めたGAAトランジスタに着目した。
3次元デバイスシミュレーション(TCAD)により、量子ビットが「0」か「1」かというスピン状態によって、GAAトランジスタを流れる電流量が変わることを確認した。また、回路シミュレーション(SPICE)によって、量子ビットから出力される極めて微弱な電気信号をセンスアンプで検出、増幅できることを確認した。しかも、提案した構造は「量子誤り訂正」の仕組みに対応できる設計になっているという。
今回の研究成果を実際の回路で検証できれば、量子コンピュータの低コスト化や大規模化が可能になるとみている。
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