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量子コンピュータ開発で天然シリコンが利用可能に、東京科学大新たな量子ビット制御方式を開発

東京科学大学工学院電気電子系の小寺哲夫准教授と久野拓馬博士後期課程学生および、日立製作所らの研究グループは、天然Si-MOS量子ビットにおいて、環境雑音に強い新たな量子ビット制御方式を開発した。位相変調マイクロ波によるConcatenated Continuous Drive(CCD)方式を適用することで実現した。

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マイクロ波連続駆動と位相変調を組み合わせたCCD方式を適用

 東京科学大学工学院電気電子系の小寺哲夫准教授と久野拓馬博士後期課程学生および、日立製作所らの研究グループは2026年3月、天然Si-MOS量子ビットにおいて、環境雑音に強い新たな量子ビット制御方式を開発したと発表した。位相変調マイクロ波によるConcatenated Continuous Drive(CCD)方式を適用することで実現した。

 量子コンピュータの実用化に向けては、多くの量子ビットを集積しながら、安定して動作させるための技術開発が進む。こうした中で、大規模化に適した方式として注目されているのが、シリコンを用いた量子ビットである。ところが、天然のシリコン材料には28Si以外に、核スピンをもつ29Si同位体が含まれている。これが磁気雑音となり、量子ビットのコヒーレンスを低下させていた。

 そこで今回は、環境ノイズに強い量子ビットを実現した。これを可能にするため、マイクロ波連続駆動と位相変調を組み合わせたCCD方式を、天然Si-MOS量子ビットに適用した。

 具体的にはまず、量子ビットに電子スピン操作用のマイクロ波を連続的に印加した。これによって、ノイズの影響を受けにくい状態(ドレスト状態)を作り出した。ドレスト状態にすることで、外部から入るノイズの影響が平均化され、誤差が蓄積されにくくなるという。

 さらに、マイクロ波の位相を変調制御すると、より安定した状態(2重ドレスト状態)となる。この結果、29Si同位体に由来する磁気雑音や制御系ノイズの影響を受けにくくなり、量子状態を長く安定して保つことが可能となった。

 今回の研究成果により、コヒーレンス時間は、従来の0.14マイクロ秒から40.7マイクロ秒へと、約280倍も向上した。単一量子ビットのゲート忠実度は従来の95%から99.1%に改善されたことを確認した。


左は開発したCCD方式により、量子ビットの状態が安定している様子。右はランダマイズド・ベンチマーキングで評価した単一量子ビット操作の忠実度測定結果[クリックで拡大] 出所:東京科学大学他

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