「膿み出し切った」SiC関連減損で過去最大1584億円赤字 ローム:26年度は増収増益、黒字転換へ(2/2 ページ)
ロームの2025年度通期業績は、純損益1584億円と過去最大の赤字となった。赤字は前期から2年連続。SiCパワー半導体の生産設備を中心に1936億円の減損損失を計上した結果で、同社社長の東克己氏は「(これまでの『膿み』は)今回の減損で出し切れたとみている。これからは上げていく方向だけに注力できる」と述べた。
SiCデバイス/モジュール事業は55%以上の成長へ
SiC事業については事業全体で2025年度には前年度比14%増、SiCデバイス/モジュール事業では同41%増と成長した。2026年度はSiC事業が同30%以上、SiCデバイス/モジュール事業は同55%以上の増加を見込むといい、東氏は「EV市場はなかなかいい話は聞かないものの、車載インバーターは、その中でもしっかりとシェアを獲得している」などと説明。さらにAIサーバ向けでも2.5倍の成長を計画する他、第5世代SiC MOSFET 8インチ品の出荷開始なども売り上げ増に貢献するとしている。一方、基板の外販ビジネスについては「6インチではもう勝負にならないので、8インチでしっかり基板の外販が取れるかが課題だ」などと述べた。
サーバ向けはCAGR42%、30年度に売上高1000億円超へ
サーバ向けビジネスでは2025年度〜2030年度まで年平均成長率(CAGR)42%で増加し、2030年度には売上高1000億円以上とする目標を明かした。
ロームは2025年度上半期の業績説明会の時点では、2030年度のサーバ向け売上高目標を300億円としていて、今回、大幅に上方修正した形だ。東氏は「大きな変化は、アナログICのMPC(マルチフェーズコントローラー)+DrMOSの部分だ。第1世代で非常にいいものができ、第2世代ではさらに特性が良いということで引き合いが強い。1000億円の半分近くはこのMPCとDrMOSが占める」と語った。
東氏はAIサーバ向けの強みとして、ロームがシリコン、SiC/窒化ガリウム(GaN)パワー半導体およびアナログIC、さらにシャント抵抗器やシリコンキャパシターなど全体をカバーする製品群を有する点を説明。そのうえで、AIサーバ向けでのNVIDIAとの協業に触れ、「しっかりとロームの品質を見てもらい、新しい製品(MPC+DrMOS)ができ、NVIDIAでもサンプルを非常に高く評価してもらえたため予想を大きく引き上げた。DrMOSは、現在使われている製品よりも効率を高められる点が高く評価されている。今後も競争は続くが、常に打ち勝っていけば、しっかりと上がっていくという見立てだ」と述べた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
「3社のパワー半導体事業を切り出し合弁設立したい」三菱電機社長
三菱電機の社長である漆間啓氏は2026年4月28日、ロームおよび東芝と進めるパワー半導体事業統合協議について、「3社のパワー半導体事業を切り出し、合弁会社を設立したい」と述べた。
ロームが第5世代SiC MOSFET、高温時のオン抵抗30%低減
ロームが同社にとって第5世代「SiC MOSFET」を開発した。第4世代品に比べ高温動作時のオン抵抗を約30%低減した。電動車(xEV)用トラクションインバーターやAIサーバ用電源などの用途に向ける。
デンソーによるローム買収提案は取り下げ、賛同に至らず
デンソーがロームに対する買収提案を取り下げた。ロームは特別委員会を立ち上げて協議や検討を重ねてきたが、賛同するという結論には至らなかったという。
ローム・東芝・三菱電機のパワー半導体はどうなるか
2026年3月は日本国内のパワー半導体業界を揺るがす報道が続いた。今回は、国内パワー半導体の再編の動きの現状、や背景、今後の見通しを整理してみる。
ロームとNVIDIA、AIファクトリー実現に向け協業
ロームは、次世代AIデータセンターに向けた「800V電力供給アーキテクチャ」の開発で、NVIDIAと協業する。新たなデータセンターの設計に対しロームは、Si(シリコン)に加え、ワイドバンドギャップ半導体のSiC(炭化ケイ素)やGaN(窒化ガリウム)など、最先端のパワー半導体デバイスを提供していく。
ロームは28年度にSiC事業黒字化へ、中国にも「開発力で負けない」
ロームは2026年度から2028年度までの3カ年の中期経営計画を発表した。SiC事業については「2028年度に黒字化達成を確信している」と強調した。【訂正あり】

