「技術ナンバーワンであり続ける」 ソニーセミコンCTOが語る技術戦略:就任から1年、何が変わった?(2/3 ページ)
ソニーセミコンダクタソリューションズの最高技術責任者(CTO)である大池祐輔氏への、イメージセンサー技術戦略インタビュー後編だ。車載や産機を含めたアプリケーションごとの技術戦略やフィジカルAIの機会および中国競合勢に対する見解、CTOとして今後の技術革新に向けた思いなどを聞いた。
フィジカルAI/ヒューマノイドに向けた技術開発
――フィジカルAI、ヒューマノイドロボット向けの技術開発についての現状はいかがでしょうか。
大池氏 車載は、早期に立ち上がっているフィジカルAI市場の一つとも言える。現実世界の情報を取得し、AIが推論し、その結果を現実世界にフィードバックするというループにおいて、車は比較的制約された環境で動作するため、実用化が進みやすい。一方、ロボットはより自由度が高く、さまざまなセンシングが必要となり、よりマルチモーダリティが高まる。
フィジカルAIは、ニーズが突然別物になるわけではない。「実世界をどれだけ正確にセンシングし、AIが動きやすくなる情報に変換できるか」という延長線上にあり、当社の産機や車載で培ったセンシング技術との相性は非常に良いと考えている。その中で、求められるものがよりシステム化されていく。当然カラーイメージとして「見る」ことは不可欠だが、物体の重さや動きといった情報を「知る」ことも必要になる。それらが統合され、1つのセンサー群として機能していく。
ヒューマノイドロボット領域は非常に注目されている一方、市場がどのような形で立ち上がっていくかはまだ不透明な部分も大きい。市場の立ち上がり方や具体的なニーズを慎重に見極めながら「世界をどうセンシングするか」という当社の技術が、どのようにフィットしていくかを探っていく段階にある。要素技術という観点では、当社が保有するさまざまなセンシング技術群を活用することでニーズに応えていけると考え、開発を進めている。
中国勢の台頭「非常に注目」
――イメージセンサー市場において、中国勢の台頭をどう見ていますか。
大池氏 非常に注目している。イメージセンサーは、最終的には「画質」に特性がつながっていく。例えば暗所でのノイズをどこまで抑えられるか、見たものに近い画像をどこまで再現できるか、そういった感覚的な部分と物理が直結する、ノウハウの塊だ。当社はその部分の優位性をこれからも磨き続け、競争優位を維持していく。
中国でどのような技術が立ち上がり、どのようなスピードで進化していくかは十分注視している。技術以外の要因も含め、総合的に戦略を組んでいく。
――強誘電体メモリ(FeRAM)や磁気抵抗メモリ(MRAM)といった磁気メモリ技術の研究開発について、学会で発表も行っていますが現状は。
大池氏 学会発表を行っている通り、混載に適したメモリ技術を要素技術として準備している。これらのメモリ技術がSRAMよりも高密度で、より低電力で搭載可能になった時、イメージセンサーの中にどのような新しい価値や機能を取り込めるのか、その点を現在検討している段階だ。
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