「技術ナンバーワンであり続ける」 ソニーセミコンCTOが語る技術戦略:就任から1年、何が変わった?(1/3 ページ)
ソニーセミコンダクタソリューションズの最高技術責任者(CTO)である大池祐輔氏への、イメージセンサー技術戦略インタビュー後編だ。車載や産機を含めたアプリケーションごとの技術戦略やフィジカルAIの機会および中国競合勢に対する見解、CTOとして今後の技術革新に向けた思いなどを聞いた。
ソニーセミコンダクタソリューションズの最高技術責任者(CTO)である大池祐輔氏へのイメージセンサー事業に関するインタビュー後編。前編では、CCD全盛期でのCMOSイメージセンサーへの転換から始まる同社の技術革新の背景や今後の技術進化の方向性、さらにモバイル向けで追求する「タテとヨコの高密度化」の詳細などを語ってもらった。
後編では、車載や産機を含めたアプリケーションごとの技術戦略やフィジカルAIの機会および中国勢に対する見解、CTOとして今後の技術革新に向けた思いなどを聞いた。
車載と産機、ニーズの違いは
――車載分野では後発としての戦いとなります。差別化のポイントは。
大池氏 車載用では、技術的には「ダイナミックレンジを上げたい」というニーズが最初にあった。われわれは、大きい画素と小さい画素の組み合わせ、いわゆるサブピクセル構造を用いることでダイナミックレンジを広げ、そのニーズに応えてきた。一方、画素の微細化による高解像度化も求められているので、それらの特性バランスを両立する技術開発を進めている。
例えば2023年9月に発表した「IMX735」(詳細はこちら)は、有効1742万画素という高画素化とともに、HDR機能とLEDフリッカー抑制機能を同時に利用する場合でも、106dBというダイナミックレンジ(ダイナミックレンジ優先を設定した場合には130dB)を両立している[クリックで拡大] 出所:ソニーセミコンダクタソリューションズ
車載カメラは1台の車に複数個搭載される。その中には、メインカメラとして非常に高性能が求められるものもあれば、サブカメラとしてコスト重視のものもある。われわれの技術優位性がより生きる領域で、しっかりマーケットニーズに応えていくことが重要だ。
――産機分野で求められる技術は。
大池氏 産機は非常に幅広い、多種多様なニーズがある。例えば、グローバルシャッターでひずみのない画像を撮りたい、ある一定の光学フォーマットの中で必要十分な解像度を確保したい、といったニーズがある。また、近赤外や短波長赤外(SWIR)といった波長帯での検査用途もある。
そのため、1つ1つの顧客に完全カスタムするというよりは、多くの用途に共通するコアニーズに応えられる技術を準備していくことが重要になる。
2023年11月に発表した産業向けの「IMX992」(詳細はこちら)は、有効約532万画素と高画素かつ、可視光からSWIRまで1つのセンサーで撮像が可能という特長を持つ[クリックで拡大] 出所:ソニーセミコンダクタソリューションズ
事業カテゴリーをまたぐ「技術の循環」が強み
大池氏 技術戦略としては、車載ではダイナミックレンジ、産機ではグローバルシャッター、スマートフォンでは高画質/高解像度/高感度で「人が見てよい画像だと思える技術」など、それぞれの市場で最も強く求められるものに対して技術をとがらせていく。
重要なのは、それぞれの市場向けにで開発された技術を、時間とともに他カテゴリーへ相互に展開していくことだ。つまり、事業カテゴリーをまたいで技術が循環していく。これが私たちの強みだ。
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