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「スーパーサイクルに入る」とキオクシア、変動の谷も小さく設備投資3年で1.4兆円へ(2/3 ページ)

キオクシアホールディングスは2026〜2028年度の3年間で年平均約4700億円の設備投資を実施する方針を示した。また同社副社長執行役員 財務統括責任者(CFO)の河村芳彦氏は今後の成長について「スーパーサイクルに入っていくと考えられる」と述べ、同社の事業構造が、安定的で高収益な成長を実現できる形へと大きく変化しているとの認識を示した。

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推論AI需要は年率86%成長、3年で1.4兆円投資へ

 常務執行役員 戦略統括責任者の矢口潤一郎氏は、NANDフラッシュメモリ市場の見通しについて説明した。同氏によると、2028年までのNANDフラッシュメモリ市場全体のビット需要の年平均成長率(CAGR)は22%となる見通しだ。特にデータセンター向け需要はCAGR 46%で成長し、その中でも推論AI向け需要はCAGR 86%と高い成長率が見込まれるという。需給バランスも2027年まで需給がタイトな状況が続く見通しで、また、NAND価格も上昇傾向にあるとし「金額ベースの市場規模は急速に拡大している」と説明。複数の市場調査会社の予測として、こうした傾向は2027年まで継続するとの見方を示した。一方、スマートフォンやPC向け需要は足元で調整局面にあり、2026年は微減を予想する見方もあるとした。

 こうした需要拡大を受け、キオクシアHDは2026〜2028年度の設備投資額を年平均約4700億円とする計画だ。2025年度比で約66%増となり、3年間の総額では約1兆4100億円規模という計算になる。なお投資対象には生産設備だけでなく、クリーンルーム整備や北上工場を中心としたインフラ投資も含まれるという。矢口氏は「顧客との複数年契約(LTA)に基づいて安定供給体制を整備する」と説明。さらに「高い投資効率を維持しながら規律ある投資を継続する」と語った。

キオクシアHDの設備投資計画
キオクシアHDの設備投資計画[クリックで拡大]出所:キオクシアホールディングス

 なお、現在は四日市工場の第7棟と北上工場第2棟の稼働スペースがおおよそ半分程度にとどまっているといい、まずは残るスペースへの設備導入を進める方針だ。その上で、市場成長に合わせて北上工場での第3棟建設も視野に入れているという。

 また、「BiCS FLASH」の世代交代によるギガバイト当たり前工程コストの低減も進める。積層数の増加だけではなく、2次元方向での微細化(シュリンク)との最適な組み合わせによってビット密度を向上させる戦略を採るという。

 研究開発投資についても、2026〜2028年度の研究開発費は年間約2300億円と、2025年度比で約63%増を計画している。投資対象には第10世代および第11世代BiCS FLASHの開発に加え、Super High IOPS SSDや新規メモリ技術であるOCTRAM(Oxide-Semiconductor Channel Transistor DRAM)、HCF(Horizontal Channel Flash)などが含まれる。また、研究開発人材の育成強化に向け、研究開発拠点内に「キオクシアカレッジ(仮称)」を設立する構想も明らかにした。

BiCS FLASHの世代交代によるギガバイト当たり前工程コストの低減研究開発費について 左=BiCS FLASHの世代交代によるギガバイト当たり前工程コストの低減/右=研究開発費について[クリックで拡大]出所:キオクシアホールディングス

 OCTRAMについては、2024年のIEDMで発表した酸化物半導体トランジスタ技術に続き、2025年のIEDMでは3次元化技術を発表している。太田氏は「引き続き開発を推進し、市場性や量産性を見極めながら事業化の検討を進める」と説明した。

 また太田氏は「AIの進化に合わせて必要となるメモリソリューションも進化が必要だ。フラッシュメモリにとどまらない領域も視野に入れながら、最適な事業買収を検討していく」と述べ、M&Aの可能性にも言及していた。

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