キオクシア、第10世代「BiCS FLASH」を北上で生産開始 AI需要に照準:第2製造棟で生産拡大へ
キオクシアは2026年7月3日、キオクシア北上工場(岩手県北上市)の第2製造棟(K2棟)を披露するセレモニーを開催した。併せて、第10世代の3次元NANDフラッシュメモリ「BiCS FLASH」の製造をK2棟で開始したことも発表した。
キオクシアは2026年7月3日、キオクシア北上工場(岩手県北上市)の第2製造棟(K2棟)を披露するセレモニーを開催した。併せて、SandiskとともにK2棟で第10世代の3次元フラッシュメモリ「BiCS FLASH」の製造を開始したと発表した。K2棟は2025年9月に稼働を開始し、既に第8世代の3次元フラッシュメモリ「BiCS FLASH」の生産が始まっている。K2棟は、第8世代/第10世代BiCS FLASHの主要製造拠点となる。
さらに、第10世代BiCS FLASHの1Tb(テラビット)TLC(Triple-Level-Cell)製品のサンプル出荷を開始したことも発表した。同製品は、エンタープライズ/データセンター向けSSDに搭載される見込みだ。
第10世代BiCS FLASHのウエハーを披露する除幕式も行われた。写真左からキオクシア岩手 代表取締役社長の柴山耕一郎氏、キオクシア 取締役社長の太田氏、Sandisk エグゼクティブバイスプレジデント 最高技術責任者のAlper Iikbahar氏、Sandisk 最高執行責任者(COO) グローバルオペレーション担当のV. Don Angspatt氏[クリックで拡大]
セレモニーに登壇したキオクシア 代表取締役社長の太田裕雄氏は「AIが普及し、生成AIのみならずエージェンティックAI、フィジカルAIへと進化する中、データの用は多様化、高度化していくとみられる。こうした状況が、フラッシュメモリの需要を押し上げると期待している」と語った。
太田氏は、332層のメモリセル積層数を採用する第10世代BiCS FLASHは高い投資効率と優れたコスト競争力を実現していると述べ、K2棟で第8世代/第10世代BiCS FLASHの生産を拡大することで、AI市場の成長にしっかり応えていきたいと強調した。
続いてSandisk エグゼクティブバイスプレジデント 最高技術責任者(CTO)のAlper Iikbahar(アルパー・イルクバハール)氏が登壇。「キオクシアとSandiskは25年以上にわたり、フラッシュメモリの開発と製造において共同投資を行ってきた。投資総額は8兆7000億円以上に上る。K2棟は、半導体における日米協業の象徴でもある」と述べ、両社は今後も連携を深めながらフラッシュメモリの生産を拡大していくと強調した。
経済産業省からは、商務情報政策局長の野原諭氏が登壇し、経済産業大臣 赤澤亮正氏の祝辞を読み上げた。政府は2026年6月23日、高市政権が掲げる17の戦略分野に対し、370兆円以上の官民投資を行うことを発表している。中でも半導体は重要分野と位置付けられていて、2040年度までに68兆円の官民投資が見込まれている。
太田氏はセレモニー後の祝賀パーティーで、2026年7月6日週には主要なハイパースケーラーがK2棟を訪問する予定であることを明かし、「(顧客らは)第10世代BiCS FLASHに対する大きな期待を持つだろう。北上の地で作られた最先端かつ高品質なメモリを訴求していく」と強調した。
第10世代BiCS FLASH、インタフェース速度は4.8Gbps
今回、サンプル出荷を開始した1Tb TLC製品は、独自の「CBA(CMOS directly Bonded to Array)」技術と「OPS(On Pitch Select Gate Drain)」技術を活用したものになる。CBAは、メモリセルアレイのウエハーとCMOS回路のウエハーを別々に製造し、最後に貼り合わせる技術。OPSは、未使用のメモリホールを削除することでビット線を短縮し、ワード線の容量を減少させる技術だ。これらを適用することで、第10世代BiCS FLASHでは、第8世代に比べ、NANDインタフェース速度を33%向上させ、4.8ギガビット/秒(Gbps)を実現した。積層数は332層で、ビット密度は59%向上させている。書き込み時の電力効率は18%、読み出し時の電力効率は30%改善されたという。
キオクシアは、第8世代BiCS FLASH以降のロードマップについて、投資コストを抑えつつ高性能化を図る製品と、メモリセルの積層数を上げて大容量化/高性能化を実現する製品の2軸で展開する戦略を取っている。K2棟で製造を開始した第10世代BiCS FLASHは後者に当たる。
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