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新ポリマー半導体で有機薄膜太陽電池の性能向上、広島大らPCBMを用い高い変換効率を実現

広島大学と京都大学、日本電子らの研究チームは、結晶性が低いポリマー半導体「PTNT2T」が、高い電荷移動度を示す起源を明らかにした。この材料を有機薄膜太陽電池(OPV)へ応用し、世界最高水準のエネルギー変換効率を実現した。

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「core-to-coreスタッキング」により、高い電荷移動度を実現

 広島大学と京都大学、日本電子らの研究チームは2026年7月、結晶性が低いポリマー半導体「PTNT2T」が、高い電荷移動度を示す起源を明らかにしたと発表した。この材料を有機薄膜太陽電池(OPV)へ応用し、世界最高水準のエネルギー変換効率を実現した。

 ポリマー半導体の電荷輸送性を向上させるには、ポリマー主鎖が規則正しく並んだ結晶構造を形成することが不可欠といわれてきた。こうした中、広島大学が既に開発しているPTNT2Tは、結晶性が低く溶解性が高いにもかかわらず、電荷移動度が高いという特性を示すことが分かっていた。そこで今回、ポリマーの電荷輸送機構を詳細に調べるとともに、OPV素子への応用を試みた。

 この結果、PTNT2Tはポリマー主鎖方向の電荷輸送性に優れており、低結晶性ながら高い移動度を示すことが分かった。一方、PTNT2Tの集合体構造ではポリマー主鎖間に、ある強い相互作用があることも分かった。

 そこで、日本電子が固体NMR測定やモデル化合物の結晶構造を解析した。この結果、ポリマー主鎖を形成するTNT骨格同士が重なり合う「core-to-coreスタッキング」が形成されていることを発見した。しかも、大阪大学が行った量子化学計算により、π電子の重なりは通常の3倍も大きいことが判明した。


広島大学が開発したTNT骨格を有するPTNT2Tの化学構造[クリックで拡大] 出所:広島大学

PTNT2Tのモデル化合物における結晶構造[クリックで拡大]出所:広島大学

 これにより、PTNT2Tはポリマー主鎖方向だけでなく、ポリマー主鎖間でも効率的な電荷輸送経路が形成され、低結晶性ながら高い移動度を示すことが実証された。京都大学が行った解析により、電荷回収に比べ電荷再結合が大幅に抑えられていることも分かった。

 研究チームは、ドナー材料としてPTNT2Tを発電層に用い、OPV素子を作製した。特に、フラーレン誘導体(PCBM)をアクセプター材料とした場合、発電層の膜厚を300nm超と通常の3倍にしても、フィルファクター(FF)は80%を超える高い値となった。エネルギー変換効率は世界最高水準の12%を達成した。アクセプター材料に非フラーレンを用いると、エネルギー変換効率は15.6%となった。

 今回の研究成果は、広島大学大学院先進理工系科学研究科の尾坂格教授、三木江翼助教、山中滉大特任助教、森奥友和氏、羽田百伽氏、、京都大学大学院工学研究科の大北英生教授、キムヒョンド助教、佐藤友揮氏、ジョンジフン氏、大阪大学産業科学研究所の家裕隆教授、理化学研究所の但馬敬介チームディレクター、中野恭兵上級研究員、筑波大学数理物質系の石井宏幸教授、日本電子の西山裕介博士らによるものである。

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