光周波数コムでわずかな動きを捉える3D計測技術、新潟大:SPM技術を導入し盲領域を解消
新潟大学の研究グループは2026年8月、岐阜大学や大阪大学と共同で、光周波数コムを用い、生体組織や透明材料のわずかな動きを捉えることができる「3D計測技術」を開発したと発表した。
高速で高精度、広帯域の全視野3D計測を可能に
新潟大学の研究グループは2026年8月、岐阜大学や大阪大学と共同で、光周波数コムを用い、生体組織や透明材料のわずかな動きを捉えることができる「3D計測技術」を開発したと発表した。
光周波数コムは、光の周波数(光の色)が櫛の歯ように等間隔に並んだ特殊なレーザー光で、高精度の距離計測や分光分析に用いられている。ただ、測定範囲や精度の調整が難しいこと、干渉信号が消える盲領域が発生するなど、応用面では課題もあった。
そこで研究グループは、干渉信号に正弦波位相変調(SPM)を導入することで従来の課題を解決。盲領域を原理的に解消しつつ、高速かつ高精度で広帯域の全視野3D計測を可能にする新方式を提案した。
具体的には、電気光学変調によって生成した10GHz間隔の光周波数コム(EOコム)から、波長帯域を大幅に広げたスーパーコンティニウム光源を構築した。この光源を用いて、単一光学系/単一カメラによるフルフィールド干渉計測顕微鏡を設計、光路差に応じて変化する干渉信号を高速に取得することに成功した。
EOコムの周波数間隔を電子的に掃引する光コム干渉法に、SPM技術を導入したことで盲領域を原理的に解消できることが分かった。つまり、SPMにより干渉位相が時間的に変調され、位相がπ/2付近で振幅ゼロとなる領域でも、安定した干渉信号が得られる。このため、全視野で連続した深さ情報を得ることができるようになった。
開発した計測技術の有効性について、複数の試料を用いた実験で検証した。段差標準試料の測定では、連続的な深さ情報が得られた。段差高さの繰り返し測定では約0.05μm(2σ)という再現性を実現した。
非鏡面の硬貨表面計測では、粗面に対しても盲領域は発生せず、複雑な凹凸形状を高速に3D再構成できることを確認した。さらに、ガラス板の厚さ計測では、内部反射が想定される多層構造に対しても、STFTを併用した位相追跡によって断層構造を正確に抽出できるなど、サブミクロンレベルの精度で厚みの評価が可能となった。
測定誤差についても評価した。繰り返し測定の誤差はおおよそ数十nmであった。硬貨やガラス板などでも高い精度が得られることを確認した。
今回の研究成果は、新潟大学工学部電子情報通信プログラムの崔森悦准教授らの研究グループと、岐阜大学大学院医学系研究科生命原理学講座生体物理・生理学分野の任書晃教授、大阪大学大学院医学系研究科薬理学講座統合薬理学の日比野浩教授らによるものである。
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