絶好調の半導体市場に迫る転換点 株式市場が先読みする「2つの懸念」:大山聡の業界スコープ(103)(1/2 ページ)
半導体市場が絶好調で推移する一方、関連株の値動きは激しさを増している。株式市場が警戒する、ハイパースケーラーの設備投資とメモリ価格高騰を巡る「2つの懸念」を整理する。
半導体関連株の値動きが激しい。前回(2026年7月)の本連載記事で取り上げたキオクシアも、2026年6月に株価が11万円を超えたかと思えば、翌7月末には4万円を割り込んだ。キオクシアの業績は極めて好調で、同社から何らネガティブな情報は発信されていないにもかかわらず、「一体何が起こったのか」と心配になるような変動である。筆者としては株価動向の分析をするつもりなどない。だが、業界関係者やメディアから多くの問い合わせを受けているし、「全く気にならない」と言えばウソになる。ここでは、株式市場が何を気にしているのか、中には半導体業界としても注意を払っておいた方が良いこともあるのではないか、という気もするので、ここで整理しておこうと思う。
株価変動に対してコメントを求められるが……
筆者は証券業界を離れて20年以上が経過しており、半導体関連企業の目標株価とかバリュエーションなどは全く念頭に置いていない。データセンター向けAIに必要なロジックICやメモリの需要が旺盛だからそういう半導体メーカー各社の株価が上がる、装置需要にも追い風だから装置メーカーの株価も上がる、本来はそれだけのことだ。
実際に半導体業界からは、各社の業績に大きく影響が出そうなニュースはほとんど発信されていない。にもかかわらず、業界関係者やメディアから「今日はキオクシアがストップ安でした」「キオクシアがストップ高になりました」「キオクシアは特にコメントを出していないようですが、どうしてこのような値動きになるのでしょうか」という問い合わせが寄せられる。このような問い合わせが重なれば、筆者としても気にしないわけにはいかない。一方のメディアにしてみれば、証券業界とは無関係の筆者のような立場の人間の方が、こういう質問を投げ掛けやすいのかもしれない。ということで、株価変動に関するコメントを求められたり、動画収録をされたりと、慌ただしい夏を迎えているのが現状である。
株式市場から見た2つの懸念事項
もちろん、株式市場では理由もなく「ストップ安」「ストップ高」などという変動が起きるはずがない。昨今では筆者も株式市場の関係者と会話を持つ頻度が増えていて、段々と「変動理由」らしきものが分かりかけてきた。主に、次の2点が注目されているようである。
1つ目は、ハイパースケーラー各社の設備投資動向である。
図1は、Alphabet(Google)、Meta、Amazon、Microsoft各社の四半期ごとの設備投資額をグラフにしたものである。
Amazonの設備投資には物流倉庫向けなども多く含まれているが、およそ8割はデータセンタ向けと推定される。残りの3社については、設備投資のおよそ9割がデータセンター向けと推定される。いずれも右肩上がりの動向を維持しているが、2026年第2四半期のGoogleの設備投資額がやや大きく、同社のフリーキャッシュフローがマイナスであったことが、株式市場ではネガティブに感じられたようだ。つまり、ハイパースケーラー各社の設備投資額がこのまま増え続けると、各社の減価償却負担が大きくなり、どこかのタイミングでピークアウトするのではないか、という懸念である。
ちなみに日本円換算でみると、2025年のデータセンター向け設備投資額は各社とも約30兆円規模で、そのうちの半分がNVIDIAに支払われたと推察される。現時点でいずれも「ピーク」には見えないが、「ピークが見える前に(株を)売っておいた方が良いのではないか」という判断が株式市場にはあるようだ。ハイパースケーラーが投資を抑え始めれば、半導体需要も減少することになる。今は好調だが、この状況がいつまで続くのか、やはり(株を)売っておいた方が、という連鎖反応が発生していることになる。
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