「持ち運べるテラヘルツ波デバイス」で市場開拓へ ローム:第2世代品は最大発振出力4倍(3/3 ページ)
ロームは、共鳴トンネルダイオード(RTD)を用いたテラヘルツ波発振デバイスの第2世代品を開発した。第1世代品と同じサイズで発振出力を4倍に高め、測定対象の拡大を図る。同社は小型で扱いやすい評価キットを通じて利用者を増やし、テラヘルツ波の用途開拓と市場形成につなげる考えだ。
安価な評価キットで用途開拓を促す
社会実装に向けては技術だけでなく、市場形成も重要だ。中原氏は「新規事業では、材料からデバイス、アプリケーションまでサプライチェーンがつながり、お金が回る必要がある」と説明する。テラヘルツ波は用途がまだ定まっておらず、規制や標準化への対応も必要になる。
そこでロームが重視するのが、安価で扱いやすい評価キットを通じて利用者を増やすことだ。高価な装置を導入せずにテラヘルツ波を試せる環境を提供し、ユーザー側から用途を見つけてもらう考えだ。
第1世代品への反応は、ロームの想定を上回ったという。電機メーカーだけでなく、植物の水分測定など想定外の分野からも関心が寄せられたとしている。中原氏はその理由の1つに価格を挙げ、「仮に3000万円の装置では『失敗できない』と考え、試す人は激減しただろう。一方、30万円程度なら『やってもいいかな』という人が増える」と指摘する。第1世代品への反応から、高周波化を求める声なども把握できたという。大企業や大学のみならず、中小企業や個人発明家にも利用を期待する。
材料判別や生体センシングにも期待
用途の1つとしてロームが挙げるのが材料判別だ。外見が似たプラスチックでも、材料ごとのテラヘルツ波の透過特性を利用すれば種類を識別できる可能性がある。リサイクル工程での分別などへの応用が考えられる。イメージングでは、透過、反射波を利用して物体内部を可視化できる。ロームの資料では、X線ではコントラストを付けにくい軽金属なども観察できるとしている。
鈴木氏は将来の可能性として、生体センシングも挙げる。皮膚の水分や汗などから生体情報を取得し、スマートウォッチやスマートリングなどに応用できると考えられる。ただし、実用化には生体への影響や取得データの意味を検証する必要がある。デバイス自体も、単一周波数で強度を測るだけでなく、複数の周波数や位相情報を取得できれば、得られる情報量を増やせる。鈴木氏は、こうした方向での技術開発にも期待を示す。
ロームは今後、第1世代品を低消費電力が求められる用途向けに、第2世代品をより高い出力が必要な用途向けに併売する。評価キットを通じて利用者を増やし、そこで得たニーズを今後の高出力化、高周波化や用途開拓につなげる考えだ。
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