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「電波が届きにくい」を解消 ミリ波とテラヘルツ波を自動切換え超高速と高信頼・低遅延通信を両立

情報通信研究機構(NICT)は、ミリ波(60GHz帯)とテラヘルツ波(300GHz帯)を統合動作させる独自のアーキテクチャを開発するとともに、通信環境に応じて2波の自動切換えとビームフォーミングを一体的に行う通信技術の実証に成功した。「電波が届きにくい」など、従来のテラヘルツ波通信における課題を改善できる。

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2波の切換えとビームフォーミングを行う通信装置を開発

 情報通信研究機構(NICT)は2026年5月、ミリ波(60GHz帯)とテラヘルツ波(300GHz帯)を統合動作させる独自のアーキテクチャを開発するとともに、通信環境に応じて2波の自動切換えとビームフォーミングを一体的に行う通信技術の実証に成功したと発表した。「電波が届きにくい」など、従来のテラヘルツ波通信における課題を改善できる。

電波暗室での実証実験の模様[クリックで拡大] 出所:NICT
電波暗室での実証実験の模様[クリックで拡大] 出所:NICT

 6G(第6世代移動通信)など次世代移動通信システムにおいては、「超高速通信」と「高信頼・低遅延通信」の両立が不可欠である。こうした中で、大容量のデータ伝送に対してはテラヘルツ波による通信が注目されている。理論上は数十ギガビット/秒を超える超高速・大容量通信が可能となる。一方で、直進性が強く途中に障害物などがあると、電波が届きにくいという課題もあった。

 これらの課題を解決する方法の1つとしてビームフォーミング技術がある。複数のアンテナ素子を用いて、電波の位相や強度を制御し特定の方向にエネルギーを集中させる。これによって、通信の到達距離や品質を向上させる技術である。ただ、テラヘルツ波通信は、ビーム方向がわずかでも変化すると、通信が途切れる可能性がある。

 そこでNICTは、ミリ波側を「ビーム制御、追尾、持続維持」に活用し、テラヘルツ波側はビーム制御を行いつつ「大容量データ伝送」に特化させるアーキテクチャを開発した。これにより、テラヘルツ波モードで通信が途切れた場合は、瞬時にミリ波モードに切り替えて通信を継続することができるようにした。

 開発した技術を実証するため、ミリ波とテラヘルツ波のモードを自動で切換えるとともに、ビームフォーミングを行う通信装置を開発し、電波暗室で実験した。この通信装置は、「近距離ではテラヘルツ波による通信、広いエリアや遠距離ではミリ波による通信に自動で切替え接続を継続する」「受信機の位置に応じて送信機から出力するビーム方向を変える」「送信機のビーム方向を変えて高速通信を維持する」という機能を持たせた。

 これにより、通信環境が変化した場合でも、ミリ波通信とテラヘルツ波通信を自動で切り替えられるシステムの実証に「世界で初めて成功した」という。伝送速度もミリ波通信(2GHz帯域幅)の2.2Gビット/秒に対し、テラヘルツ波通信(8GHz帯域幅)では、最大7.5Gビット/秒を実現した。さらに、アンテナ制御によって、ミリ波では±60度、テラヘルツ波では±40度の範囲をカバーすることが可能だという。

開発したミリ波、テラヘルツ波による自動切換えビームフォーミング通信装置[クックで拡大] 出所:NICT
開発したミリ波、テラヘルツ波による自動切換えビームフォーミング通信装置[クックで拡大] 出所:NICT

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