AI自律実験の「ブラックボックス」を解く 人が使える成膜ルールに:NTTがβ型酸化ガリウムで実証(3/4 ページ)
NTTは、AIとロボットを組み合わせた自律実験によって半導体材料の成膜条件を最適化するとともに、その過程で得られたデータから、人が理解/転用できる「成膜ルール」を抽出する技術を実証した。次世代パワー半導体材料として期待されるβ型酸化ガリウム(β-Ga2O3)を用いた実験では、「スパッタ法として世界で初めて」(NTT)の単結晶薄膜の作製にも成功した。
AIの最適解を「人が使える成膜ルール」に
さらに、今回の研究の最大の特徴は、上記のような自律探索によって得たデータを「人が使える知識」に変換したことだ。
NTTは、成膜条件と薄膜品質について蓄積したデータを、複数の決定木(ディシジョンツリー)を組み合わせる機械学習手法「ランダムフォレスト」で解析した。これによって、どの成膜パラメーターが薄膜品質にどの程度影響するのか、パラメーター同士の相互作用、最適な領域の構造などを分析した。
その結果、複雑に見える薄膜品質の変化は、温度、スパッタ電力、Ar流量、O2流量それぞれの影響を足し合わせれば、大部分を予測できると分かった。一方、温度とO2流量については単純な足し合わせでは予測できず、この2つの組み合わせを重点的に調整する必要があることが明らかになった。
NTTは「温度とAr流量が複雑に絡んだような項は存在せず、多くが1次元的な依存性で表せる」と説明する。そのため、それぞれのパラメーターを1つずつ調整した後、相互作用がある温度とO2流量を重点的に調整すればよいという。
こうしてNTTは「各パラメーターを順番に調整し、最後に温度とO2流量を重点的に調整する」という、人間が実行できる成膜ルールを抽出した。このルールに基づいて研究者が改めて成膜条件を最適化したところ、EUは182meVから163meVまで低下。自律最適化で得た条件よりも、さらに高品質な成膜条件に到達した。
AIが見つけた最適条件をそのまま使うのではなく、その背後にあるパラメーター間の関係を人間が理解できる形に整理し、それを次の実験に生かせることを示した形だ。NTTの担当者は「AIが得た結果を人間が理解できる知識に変換し、その知識が次の実験でも実際に役に立つことを確認した」とした。
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