酸化還元グラフェン上にグラフェン薄膜を形成、東洋大ら:薄膜全体の結晶性と電気特性を改善
東洋大学と岡山大学の研究グループは、酸化還元グラフェン(rGO)上に、高い結晶性と電気伝導特性に優れたグラフェン薄膜を形成することに成功した。
透明導電膜やセンサー、エネルギーデバイスなどへの応用に期待
東洋大学理工学部電気電子情報工学科の根岸良太教授、岡山大学学術研究院先鋭研究領域(異分野基礎化学研究所)の仁科勇太教授らによる研究グループは2026年8月、酸化還元グラフェン(rGO)上に、高い結晶性と電気伝導特性に優れたグラフェン薄膜を形成することに成功したと発表した。
rGOは、安価で大量合成が可能な酸化グラフェン(GO)を還元することで得られ、高いスケーラビリティーを有している。このため、透明導電膜やセンサー、エネルギーデバイスなどへの応用が期待されている。ただ、rGO内に残る酸素官能基や欠陥構造が、電気伝導特性を低下させるという課題があった。
そこで研究グループは、GO薄膜の還元温度とエタノール供給量を制御しながら、rGO薄膜の構造変化や表面形態、電気伝導特性などを解析した。これにより、加熱還元過程には複数の段階的な高結晶化機構が存在することを明らかにした。
例えば低温領域(〜1100℃)段階では、酸素含有官能基の脱離が進み、隠れていたsp2炭素ネットワークが露出することによって結晶性が向上した。中温領域(〜1200℃)段階では、エタノール由来の炭素前躯体による欠陥構造の修復と、炭素凝集体の形成が確認された。さらに高温領域(〜1400℃)段階では、新たな結晶化機構として、rGO表面上でグラフェンアイランドが結晶成長する現象を確認した。
形成されたグラフェンアイランドは六角形状のエッジ構造となっていて、層状成長やらせん成長など、特徴的な成長モードを示した。これらのグラフェンアイランドは、rGOテンプレートとの層間相互作用によって配向し、高い結晶性を有することが分かった。
さらに、グラフェンアイランドの形成に伴って結晶粒径が大きくなり、電気伝導特性も大幅に最善されたという。Hall移動度は最大365cm2/V・sを達成した。グラフェンアイランドを多層に積層すれば、シート抵抗を低減できることも確認した。
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