AIを活用し目的に応じた電源回路を設計、千葉大ら:「ちょうど良い設計」が可能に
千葉大学と東京理科大学の研究チームは、高周波電源回路をAI/機械学習で自動設計する新たな手法を開発した。用途や優先順位に応じた設計を提示するとともに、部品選定を含む統合設計が可能となる。2年以内の実用化を目指す。
「マルチフィジックス」と「多目的最適化」を組み合わせ
千葉大学大学院情報学研究院の関屋大雄教授と東京理科大学工学部電気工学科の朱聞起助教らによる研究チームは2026年8月、高周波電源回路をAI/機械学習で自動設計する新たな手法を開発したと発表した。用途や優先順位に応じた設計を提示するとともに、部品選定を含む統合設計が可能となる。2年以内の実用化を目指す。
電気自動車(EV)やデータセンターなどでは、機器の小型化や省エネルギー化が進み、搭載される電源回路にも、高効率と小型化が求められている。こうした中で、高周波化すれば小型化が可能になるが、半導体やコイルの損失が増えるため効率は低下する。逆に効率を高めようとすれば部品が大きくなりやすい、という課題があった。
そこで今回、トレードオフの関係にある要素を1つの数値モデル統合し、複数の性能目標を同時に評価することで、搭載する用途に適した回路を自動設計する手法を開発した。具体的には、電気や磁気、熱という異なる物理現象を一体的に扱う「マルチフィジックス」と、複数の設計目標を同時に扱う「多目的最適化」を組み合わせた。その上でAI/機械学習による探索・最適化により、目的に合った組み合わせを選び出すという。
研究チームは今回、効率を重視して設計した1kW級/1MHzのLLC共振型コンバータ―回路で最大96.1%の電力変換効率を達成した。一方、小型化を重視した設計では、高い効率を保ちながら、磁性部品の体積を約41%削減できることを確認した。このことは、用途や目的に応じた「ちょうど良い設計」が可能なことを示すものである。これまで熟練技術者に頼っていた高度なパワーエレクトロニクス回路の設計を、AI活用で自動化することが可能となる。
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