複数のレーザービームを重ね「世界最高」ピーク出力達成:従来重ね合わせ技術の約1000倍
量子科学技術研究開発機構(QST)と同志社大学の研究グループは、複数のレーザービームを高い精度で重ね合わせることによって、従来の約1000倍となるピーク出力を達成した。
将来はエクサ(10の18乗)ワット級に到達する可能性も
量子科学技術研究開発機構(QST)関西光量子科学研究所光量子ビーム科学研究部先端レーザー科学研究グループの桐山博光グループリーダーと同志社大学理工学部の研究グループは2026年9月、複数のレーザービームを高い精度で重ね合わせることによって、従来の約1000倍となるピーク出力を達成したと発表した。
レーザーの高出力化に向けては、ビーム口径を拡大する「アパーチャースケーリング方式」が一般的だったが、レーザー装置自体が大型化するため課題となっていた。そこで注目されているのが複数のレーザーを重ね合わせて強力な光を生成する「ナンバースケーリング(コヒーレントビーム結合)方式」だ。ただ、パルス幅が30兆分の1秒程度のレーザーになると、従来の重ね合わせ技術では、位相を完全に一致させることが難しかったという。
研究グループは今回、分割された光が同一の光路長を通るサニャック干渉を採用し、この干渉計内に高出力の固体レーザー増幅器を配置することで、各ビームの位相を受動的に一致させる方式を提案した。各分割光が等距離を伝搬することで位相差が抑えられ、能動的な位相制御を不要とした。
原理実証実験では、これまでより約3桁も大きい1.2テラワットのピーク出力を達成した。新たに開発した方式を応用すれば、ビーム数に比例したピーク出力が得られる。このため、現在世界最高といわれる10ペタワットを超えて、将来はエクサ(10の18乗)ワット級に到達する可能性があるとみられている。
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