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「試用期間」のヒューマノイドも TE掛川工場の取り組み自動化やデータ分析で生産性向上(2/2 ページ)

TE Connectivity Japanは、主に自動車向けコネクターを生産する掛川工場(静岡県掛川市)を報道陣に公開した。同工場では、プレス、めっき、成形、組み立てまでを一貫して手掛けるほか、自動化や製造データの活用を進め、品質と生産性の向上に取り組んでいる。現在は、人と同じような動きが可能なヒューマノイドロボットも試験的に導入している。同工場の様子と、ものづくりを支える取り組みを紹介する。

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工程ごとに品質を作り込む

 掛川工場が重視しているのが、完成品を最後に検査するだけではなく、各製造工程で品質を高めることだ。

 例えば成形工程では、成形条件を監視するとともに画像検査を活用する。組み立て工程でも生産ライン内に検査工程を組み込み、自動検査を実施している。設備の稼働状況や製造/検査履歴などのデータもリアルタイムで把握し、分析結果を次の改善につなげる。

 工場内では自動化も進んでいる。例えば樹脂成形では、金型から取り出した部品をロボットがピックアップして整列させる。人の手による傷などを防ぐことも、自動化の狙いの1つだ。組み立て工程もほぼ自動化しているという。

搬送ロボットが走行する掛川工場の生産ライン
搬送ロボットが走行する掛川工場の生産ライン[クリックで拡大] 提供:TE Connectivity Japan

 TEは、「ロボットが人を置き換える」のではなく、単純な繰り返し作業を自動化し、人が分析や改善など付加価値の高い仕事に集中できる現場を目指す。組み立てや検査の自動化、設備/製造/検査履歴のリアルタイム把握、データ分析による工程改善というサイクルを掲げている。

「試用期間」のヒューマノイド 部材供給を自動化へ

 こうした自動化の新たな取り組みとして、掛川工場では現在、カワダロボティクスのヒューマノイドロボット「NEXTAGE(ネクステージ)」1台を試験的に導入している。TEによると、主な目的は人手不足への対応と、従業員をより付加価値の高い業務に振り向けることだ。

搬送ロボットが走行する掛川工場の生産ライン
搬送ロボットが走行する掛川工場の生産ライン[クリックで拡大] 提供:TE Connectivity Japan

 報道陣に公開されたデモでは、組み立て工程への部材供給を再現した動作をNEXTAGEが行っていた。従来、人が部材を取って決められた位置に並べていた作業を、ロボットに置き換えることを想定している。TEは、組み立て工程の部材供給は、現在人が担っている作業の中でも比較的ロボットに置き換えやすい領域だとみている。

 一般的な産業用ロボットとの違いの1つは、周囲の状況に合わせて動作できる点だ。NEXTAGEには頭部に2台、手元に2台の計4台のカメラが搭載されている。AIを用いて、部品がランダムに置かれていても形状を認識し、適切な角度でつかめる。可動域も広く、人間に近い動作が可能だ。

 人と同じ作業空間で使いやすいことも特徴だ。TEによると、NEXTAGEは可搬重量が小さく、人が横を通ったり、隣に並んだりする環境でも運用しやすいという。人に近い細かな動きができることに加え、ロボットであれば長時間稼働させられることも、将来的なメリットとして挙げる。

 導入のハードルを下げるのが、操作や設定の容易さだ。TEによると、今回披露した動作の初期学習は約1時間で完了したという。基本的な操作や設定は掛川工場の製造技術部門が自ら手掛け、必要に応じてメーカー側の支援を受ける。

 一方で、ロボットを導入して作業者を減らすこと自体が目的ではない。TEは、単純な繰り返し作業をロボットに任せ、人には分析や工程改善、設備の異常への対応など、判断や経験が求められる業務を任せる考えだ。今回ロボットへの置き換えを検討している作業を担当していた従業員についても、別の業務を担えるよう教育を進めているという。

 現在は本格導入前のトライアル段階で、追加導入する台数や対象工程などは決まっていない。掛川工場では、実際の生産現場で活用方法を検証しながら、用途に応じて今後の展開を検討していく。

「飛び道具はない」 0.5秒の短縮を積み重ねる

 TEはヒューマノイド導入のほかにも生産性向上のための取り組みを進める。掛川工場では、品質や生産性に関する課題に対して部門や拠点を越えて専門家を集める「匠(たくみ)活動」を実施している。日本だけでなく中国、韓国、タイなどアジア地域の拠点間で知見を共有し、現地で原因分析や改善を行った成果を、別の拠点や製品開発にも展開している。

 TE Connectivity Japan 代表取締役社長 職務執行者の川上清康氏は、今後の生産性向上について「飛び道具はない」と話す。

 「例えば自動化ラインのサイクルタイムをいかに0.5秒、1秒短くするか。日々、工程やラインごとにフォーカスして改善し、それを年間計画に落とし込んで愚直に繰り返す。それが日本のものづくりをさらに強くする要因になる」(川上氏)

 TEは、今後も自動化やデータ活用を進めるとともに、工程ごとの改善を積み重ね、生産性と競争力の向上を図る方針だ。

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