量子コンピュータと量子暗号(前編):福田昭のデバイス通信(525) 2026年度版実装技術ロードマップ(8)(1/2 ページ)
「2026年度版 実装技術ロードマップ」の概要を、シリーズで報告している。今回から「2.2.1.3 量子コンピュータと量子暗号」の概要を説明していく。
「2.2.1.3 量子コンピュータと量子暗号」の概要(前半)を説明
電子情報技術産業協会(JEITA)が2026年6月に発行した「2026年度版 実装技術ロードマップ」の概要をご報告するシリーズの第8回である。報告のベースは、2026年6月9日に開催された完成報告会(注:報告会の撮影および録音は禁止)の講演スライドとロードマップ本体だ。ロードマップの策定を担当したJEITA Jisso技術ロードマップ専門委員会(JJTRC:Japan Jisso Technology Roadmap Council)のご協力を得て講演スライドの一部を掲載している。この場を借りて同委員会の皆さまに深く感謝したい。
シリーズの第4回では、「第2章 注目される市場と電子機器群」の第2章第2節「2.2 情報通信」の概要説明を始めた。「2.2 情報通信」は、「2.2.1 コンピューティングの分類および動向」と「2.2.2 モバイルデバイス、メタバース」に大別される。
「2.2.1 コンピューティングの分類および動向」は序文と、「2.2.1.1 光伝送技術と光トランシーバ構造」「2.2.1.2 データセンター」「2.2.1.3 量子コンピュータと量子暗号」で構成される。「2.2.2 モバイルデバイス、メタバース」は、「2.2.2.1 モバイルデバイス」「2.2.2.2 メタバースデバイス」「2.2.2.3 5Gミリ波、6G実装動向」に分かれる。
前々回と前回は「2.2.1.2 データセンター」の概要を前後編で報告した。今回からは「2.2.1.3 量子コンピュータと量子暗号」の概要をご説明していく。
「2.2.1.3 量子コンピュータと量子暗号」は、(1)〜(7)の7つの項目から成る。量子コンピュータの物理方式と構造、技術的課題、実装技術と日本の強み、国内外の開発動向、量子暗号などを扱う。
量子技術の開発と普及を後押しする国家戦略
量子技術の開発と普及を後押しするため、日本国政府は2020年以降、国家戦略として政策的な枠組みを段階的に整備してきた。おおよそ3つの枠組みがある。研究開発を強化する「量子技術イノベーション戦略」、将来の社会像を示す「量子未来社会ビジョン」、産業化に向けた重点分野を定めた「量子未来産業戦略」である。
量子技術は大別すると「量子コンピュータ」「量子通信」「量子センシング」に分かれる。量子コンピュータは、従来のコンピューティングが苦手としてきた化学計算や組み合わせ問題などを高速に処理できるとされる。「量子通信」は、従来の通信回線に比べると盗聴がはるかに困難な通信技術として期待がかかる。「量子センシング」は、従来のセンシング技術を超える高い感度で磁場や電流、温度などを測定できるようにする。
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