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SiC特有の「データシートに載らない劣化」を測定、OKI:最大2MHzで試験、時間を75%短縮(1/2 ページ)

OKIエンジニアリングは、SiC MOSFET特有の劣化モード「AC-BTI」を評価する試験サービスを強化する。カスタムメイドの新たな試験装置を導入し、評価可能なデバイスや試験条件を拡大したほか、試験時間を従来比最大75%短縮。欧州の車載向け信頼性試験規格「AQG 324」2025年版にも対応する。

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 OKIエンジニアリング(OEG)は2026年9月29日、炭化ケイ素(SiC) MOSFETに特有の劣化モード「AC-BTI(Alternating Current-Bias Temperature Instability)」を評価する試験サービスを強化すると発表した。

 カスタムメイドの新たな試験装置を導入し、評価可能なデバイスや試験条件を拡大した。新装置ではスイッチング周波数を従来の最大500kHzから2MHzに高め、試験時間を最大75%短縮したほか、2025年に改定された車載パワー半導体向け信頼性試験規格「AQG 324」にも対応する。2026年11月2日から提供を開始する。

OEGの新試験装置。左から制御部、ストレス印加回路部、被試験物(DUT)ボード
OEGの新試験装置。左から制御部、ストレス印加回路部、被試験物(DUT)ボード[クリックで拡大]

SiC特有の「不可逆な劣化」

 SiCは、シリコン(Si)に比べて高耐圧/低損失なパワー半導体を実現できる材料として、電気自動車(EV)や産業機器、データセンター電源などで採用が進んでいる。一方、SiC MOSFETには、Si MOSFETには見られない固有の劣化モードがある。その1つがAC-BTIだ。

 AC-BTIとは、SiC MOSFETのスイッチング動作を長期間繰り返すと、しきい値電圧(Vth)が不可逆的に上昇する劣化モードだ。Vthが上昇するとオン抵抗も増え、電力損失や発熱が増加する。長期間の使用によって、SiCの利点である低損失という特性が悪化する可能性がある。

 OEGによると、このAC-BTIによる特性変動量は通常、個々の製品のデータシートには記載されていない。メーカーによって変動量が異なるだけでなく、同じメーカーでも製品によって差があるという。

 OEG 信頼性ソリューション事業部の武井康平氏は、「SiCパワー半導体メーカーではAC-BTIの存在は認識されている。一方で、これからSiCを使おうというユーザーではまだ知らない人も多い」と説明する。

 長期的な特性変動量をあらかじめ把握できれば、ユーザーは部品選定に活用できるほか、将来のオン抵抗や発熱量の増加を見込んだ回路/冷却設計も可能になる。

国内SiCメーカー7社中5社が利用

 OEGは2024年9月からAC-BTI試験サービスを提供している。当初は、SiCパワー半導体メーカーによる開発段階での評価と、デバイスユーザーによる採用検討段階での比較評価の双方を想定していた。実際にサービスを始めると、特にデバイスメーカーからの依頼が多かったという。国内でSiCデバイスを製造する7社のうち、5社から試験依頼を受けたとしている。

 デバイスメーカー自身もAC-BTI評価設備を持つ場合があるが、開発案件が集中すると試験設備のキャパシティーが不足する場合がある。また、低温領域でのAC-BTI評価に対応できる設備も少なく、OEGでは−40〜+175℃の範囲で温度を変えながら評価できる点が利用につながったという。OEGの評価では、デバイスによっては常温より低温時の方がVth変動量が大きくなる例も確認している。

 OEGは試験条件の設定だけでなく、波形や測定方法を細かく調整して再現性を確保するノウハウを蓄積してきた。武井氏は「規格への適合を確認するために結果だけを求める試験ではなく、条件をそろえた再現性の高いデータを出すことを重視しているので、研究職の方に喜ばれている」と説明する。

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