SiC特有の「データシートに載らない劣化」を測定、OKI:最大2MHzで試験、時間を75%短縮(2/2 ページ)
OKIエンジニアリングは、SiC MOSFET特有の劣化モード「AC-BTI」を評価する試験サービスを強化する。カスタムメイドの新たな試験装置を導入し、評価可能なデバイスや試験条件を拡大したほか、試験時間を従来比最大75%短縮。欧州の車載向け信頼性試験規格「AQG 324」2025年版にも対応する。
車載規格改定にも対応
今回のサービス強化の背景には、2025年に欧州の車載パワー半導体向け信頼性試験規格「AQG 324」が改定されたこともある。2025年版では、AC-BTI試験でドレイン電圧を印加した際の影響を確認する条件が盛り込まれた。
従来のOEGのAC-BTI試験では、主にゲートにACストレスを印加して評価していた。ゲート電圧が±20V程度なのに対し、SiC MOSFETには650V、1200V、1700Vといった耐圧の製品があり、ドレイン側にはゲートに比べて大幅に高い電圧が加わる。
ドレインに高電圧を印加した状態で試験するには、ゲートとドレインに加える電圧のタイミングを適切に制御する必要がある。ゲートとドレインの電圧印加のタイミングを誤ると大電流が流れ、デバイスを破壊する可能性があるからだ。
OEGによると、この条件に対応できる国内の試験サービスは現時点では少なく、顧客から「対応できないか」という問い合わせが相次いでいたという。
新装置は最大2MHzで試験、時間を75%短縮
OEGはこうした要求に対応するため、従来の1号機に加えて新たな2号機を導入した。2号機では、ゲート駆動力を高め、ゲート電圧の立ち上がり/立ち下がりを高速化した。これによって、ゲート容量の大きいデバイスでも規格で要求されるゲート電圧のスルーレート(dVGS/dt)に対応できるようにした。
試験回路も拡張し、AQG 324に記載されているAC-BTI試験で、ドレイン電圧を印加した際の影響を確認できるようになった。
AC-BTIによる特性変動は、主にスイッチング回数に依存する。このため、スイッチング周波数を高めれば、同じ回数のストレスをより短時間で与えられる。従来装置の上限は約500kHzだったが、2号機では最大2MHzに対応した。最大条件ではスイッチング周波数を4倍にでき、試験時間を従来の4分の1に短縮できる。
例えば車載用途を想定した10の11乗回程度のスイッチング試験では、従来の500kHzでも2〜3日程度で終了するので、短縮できる期間は1〜2日程度にとどまる。一方、風力発電用パワーコンディショナーなどでは、長期間の連続動作を想定して10の13乗回程度を評価する場合があるという。この場合、従来は約230日かかっていた試験を約4分の1に短縮できるので、長期試験ほど高速化の効果が大きい。
1号機と2号機を同時に稼働することで、同時に試験できるデバイス数も従来の48個から最大96個に倍増した。
2号機では、試験中のオン抵抗測定にも新たに対応した。4線式(4wire)測定によって、試験中のオン抵抗の変化を自動で測定できる。以前から対応していたVthの自動測定と合わせ、AC-BTIによる特性変化を試験中に追跡できるようになった。
将来的にはモジュール評価も検討
現在の試験対象はディスクリートSiC MOSFETに限られる。顧客からはパワーモジュールでの評価を求める声も多いが、モジュールは容量が大きく、現在の自動試験設備では対応のハードルが高いとしている。将来的にはモジュール評価も検討していく。
サービス料金は個別見積もり。OEGは2026年11月から2028年3月までの累計で、1億円の売上高を目標としている。
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