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ローム、第5世代SiCの狙いと車載モジュール改良の舞台裏:「プレーナー」に回帰した理由は?(1/2 ページ)

電気自動車(EV)市場の停滞で一時逆風を受けた炭化ケイ素(SiC)市場だが、ロームは次の成長を見据えて開発の手を緩めていない。

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 電気自動車(EV)市場の停滞で一時逆風を受けた炭化ケイ素(SiC)市場だが、ロームは次の成長を見据えて開発の手を緩めていない。SiC MOSFETの新世代品開発/展開を強化するほか、車載向けSiCパワーモジュールの改良なども進め、さらなる成長につなげる構えだ。

 「PCIM Europe 2026」(2026年6月9〜11日、ドイツ・ニュルンベルク)では、トレンチ型からプレーナー型へ回帰した最新世代の第5世代SiC MOSFETと、車載顧客の要望を反映したSiCパワーモジュール「TRCDRIVE pack」の改良版「Type 2」を公開していた。現地で担当者に、その詳細を聞いた。

8インチ SiC MOSFET基板
8インチ SiC MOSFET基板[クリックで拡大]

トレンチから「プレーナー」に回帰、第5世代SiCの狙い

 ロームは2026年4月、同社にとって第5世代となるSiC MOSFETを開発したと発表した。第5世代品は素子構造や製造プロセスを見直し、同耐圧、同チップサイズで比較した場合、高温動作時(Tj=175℃)のオン抵抗を第4世代比で約30%低減した。2026年7月から第5世代SiC MOSFETを搭載したディスクリート製品とモジュールのサンプル提供を開始している。用途として電動車(xEV)のトラクションインバーターのほか、AIサーバやデータセンターの電源などを想定する。

ロームの第5世代SiC MOSFET
第4世代比で高温時のオン抵抗を約30%低減した第5世代SiC MOSFET[クリックで拡大]

 第5世代で特徴的なのが、素子構造を第4世代のトレンチ型からプレーナー型に変更したことだ。ロームのSiC MOSFETは第2世代がプレーナー型、第3、第4世代ではトレンチ型を採用してきたが、第5世代では再びプレーナー型を採用した。

2世代から第5世代まで
2世代から第5世代まで[クリックで拡大]

 一般的にはトレンチ型の方が素子を高密度化しやすく、オン抵抗の低減に有利とされる。一方、プレーナー型にはゲート−ソース間電圧(VGS)の許容範囲を広げやすい利点がある。担当者は、こうしたプレーナー型の利点を生かしながら第4世代比でオン抵抗を30%低減することが、開発上の難所だったと説明する。

 第5世代ではVGSの許容範囲も拡大した。定常時のVGS定格は−7〜+23V、短時間のスパイクでは−10〜+26Vまで許容する。担当者によると、第4世代の顧客からVGSの許容範囲を広げてほしいという要望があり、第5世代で反映したという。

第5世代SiC MOSFETの特性
第5世代SiC MOSFETではゲート−ソース間電圧の許容範囲も拡大した[クリックで拡大]

 第5世代でプレーナー型を採用したからといって、トレンチ型の開発をやめたわけではない。ロームではプレーナー型とトレンチ型でそれぞれ開発部隊を設け、両方式の開発を並行して進めている。担当者によると、両チームは技術情報を共有する一方、一部では「社内競争」のような形で技術を競い合っているという。こうした開発体制も、第5世代のプレーナー型でオン抵抗の低減を実現できた理由の一つだとしている。

 担当者は、他社ではプレーナー型からトレンチ型へ開発の軸を一本化する例もある一方、ロームでは「どちらも大事」と強調。2つの開発部隊を並行して走らせることで、約2年ごとにSiC MOSFETの新世代を投入できる開発体制につなげているという。

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