電極を積層し光電圧100倍に 東北大らの光蓄電池:電荷の流路を確立
東北大学と英ケンブリッジ大学は共同で、太陽電池と蓄電池を一体化した「光蓄電池」において、約1Vという高い光電圧が得られることを実証した。光吸収層と蓄電層などを分離して積層することで、電荷再結合による損失を抑えた。自律型センサーやウェアラブルデバイスの電源への応用が期待される。
自律型センサーやウェアラブルデバイスの電源などに応用
東北大学学際科学フロンティア研究所(兼金属材料研究所)の下川航平助教らによる研究グループは2026年10月、英ケンブリッジ大学と共同で、太陽電池と蓄電池を一体化した「光蓄電池」において、約1Vという高い光電圧が得られることを実証したと発表した。自律型センサーやウェアラブルデバイスの電源への応用が期待される。
発電と蓄電の機能を一体化した光蓄電池は、電力変換器などを削減できるので、システムの小型化や低コスト化が可能となる。ところがこれまでは、光吸収材料や蓄電材料が混在した電極を用いていたので、電荷再結合による電圧損失が大きく、得られる光電圧が理論限界(約1〜2V)を大きく下回っていたという。
そこで研究グループは、光蓄電池の電極構造と出力特性の関係を調べた。実験では、水系亜鉛電池を対象として3種類の光電極を作製した。1つ目は光吸収材と蓄電材料(マンガン系酸化物)などをランダムに混ぜ合わせた「混合型」、2つ目は光吸収と蓄電を単一の材料で担う半導体(酸化第一銅)薄膜を用いた「二機能型」、3つ目は色素増感太陽電池の層構成を模倣して各材料を重ね合わせた「積層型」である。
作製した3種類の電極構造を用い、光照射下における電気化学特性を比較した。この結果、界面を分離した積層型の光電極は、発生した電荷が流れる経路が確立されたことによって、再結合とそれに伴う熱損失を抑えることができた。これにより、疑似太陽光の照射下で約1Vという光電圧が得られた。一方、混合型光電極は発生した電荷が内部で再結合し、得られた光電圧は約0.01Vであった。二機能型光電極はエネルギー帯の曲がりによって電荷移動が誘導され、得られた光電圧は約0.1Vとなった。
今回の成果により、電極を層構造にして電荷の輸送経路を制御することが、光電圧の損失抑制につながることを実証した。3種類の電極を備えた三極式デバイスを評価したところ、定電圧保持下での光アシスト充電と暗所での放電が進行することも確認した。
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