京セラと東北大、シリコン光回路に光アイソレーターを直接集積:戻り光を約20分の1に低減
京セラと東北大学電気通信研究所は、シリコン光回路上に光アイソレーターを集積する技術を開発した。レーザー光による局所的な熱処理手法「レーザーアニール」を用いて実現したのは「世界初」だという。
「世界初」レーザーアニール手法を用いて実現
京セラと東北大学電気通信研究所は2026年9月、シリコン光回路上に光アイソレーターを集積する技術を開発したと発表した。レーザー光による局所的な熱処理手法「レーザーアニール」を用いて実現したのは「世界初」だという。
光アイソレーターは、光回路の内部で反射した「戻り光」がレーザー光源に入って、通信品質が低下するのを抑えるためのデバイスだ。特に、半導体チップと光学部品を同一パッケージに集積して、電力消費や信号損失を抑える「CPO(Co-Packaged Optics)」を実現するには、光アイソレーターをシリコン光回路に直接作り込む技術が必要になる。
光アイソレーターは、結晶材料として磁気光学ガーネットが用いられる。この材料に光アイソレーターの機能を持たせるには約600℃以上での熱処理が必要だ。このため、従来の手法だとチップ上の電極や配線などに悪影響を及ぼす可能性があった。
そこで研究グループは、局所的にレーザー光を当てて加熱する「レーザーアニール」法を用い、光アイソレーターをシリコン光回路に直接作製するモノリシック集積技術を開発した。具体的には、磁気光学ガーネットを成膜した約700μm四方の光アイソレーター回路のみに近赤外波長帯のレーザー光を照射した。照射された領域だけが加熱され、磁気光学ガーネットが結晶化された。これにより、チップ全体を炉に入れて熱処理する従来手法で課題となっていた、熱による電極破損などを削減できるという。
研究グループは、開発した技術を用いてデバイスを試作し、シリコン光回路上で光アイソレーターが動作することを確認した。実験では、順方向伝搬と逆方向伝搬に相当する光強度を測定した。この結果、光通信で用いられる波長領域では、13.6dBのアイソレーション比が得られ、戻り光を約20分の1に低減できることを実証した。レーザーを照射した部分の磁気光学ガーネットが、シリコン導波路上で良好に結晶化していることも確認した。
研究グループは今後、さらなる低損失化と高効率化、量産に向けた生産性の向上などを実現していくための開発に取り組んでいく。
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