検索
連載

2nm微細化の効果は絶大、Apple新スマホチップ「A20 Pro」分解:この10年で起こったこと、次の10年で起こること(108)(2/3 ページ)

前回に引き続き、2026年9月18日に発売されたApple最新スマートフォン「iPhone 18 Pro」のプロセッサ「A20 Pro」を中心に分解する。シリコン面積は前世代の「A19 Pro」とほぼ同じだが、3nmから2nmへと微細化した効果は絶大だ。

Share
Tweet
LINE
Hatena

1世代前のA19 Proと比較

 図4は2025年のApple「A19 Pro」(TSMC 3nm製造)と2026年のA20 Proのパッケージ構造の差である。A19 ProはSoCシリコンとメモリシリコンを縦積みした構造で、ともにInFO(Integrated Fan-Out)技術を活用している。A20 Proでは平面にSoCとメモリを配置と、構造を大きく変えたものとなっている。

図4:SoC、メモリの配置構造が大きく変化
図4:SoC、メモリの配置構造が大きく変化[クリックで拡大]出所:テカナリエレポート

 積層の利点は面積の縮小だが、厚みが出ること、内部に熱がこもることなどデメリットも大きい。平置きは面積が増えるものの、SoCとメモリ間の配線長が短くなる、帯域を増やしやすいなどメリットが大きい。現在A20 Proの断面解析に着手したところだ。追ってA19 Proとの断面構造比較を報告したいと思っている。

 図5はA19 ProとA20 Proのチップの機能配置の様子である。シリコン面積はA19 Proを1.000とすると、A20 Proは1.006(0.6%増)とほぼ同じ面積だが、3nmから2nmに微細化した効果は絶大だ。当然ながら回路の見直し改善によるトランジスタ数の削減や、トランジスタの高速化によるファンアウト削減などの効果も相まって小面積化できている部分もあるが、GPUコア数を1個増やし、CPUコアもPコアからSコア化、NPUを2倍に大型化しても、同じ面積に収まっている点で2nmの効果が十分に読み取れる。

図5:微細化によって面積ほぼ据え置きでも高性能化
図5:微細化によって面積ほぼ据え置きでも高性能化[クリックで拡大]出所:テカナリエレポート

 また従来はチップ4か所に分散していたメモリインタフェースが1か所に集約されるなど、内部のフロアプランも大きく変更されたものになっている。コア回路からフロアプランまで大幅に進化したものがA20 Proというわけだ。製造プロセスだけでなく回路方式も大幅変更を行った点からも、Appleの高い開発力が読み取れる。

独自開発モデムも第2世代に進化

 表1はiPhone 18 Proに搭載される、Apple独自開発5Gモデムの第2弾であるC2の様子である。パッケージ内部にはベースバンドプロセッシングのSoCとDRAMが積層搭載されている。Appleは2025年2月発売の「iPhone 16e」で初の独自開発モデム「C1」を搭載した。しかし同年9月発売の「iPhone 17シリーズ」にC1モデムは採用されず、Qualcommのモデムを搭載していた。

表1:Apple独自モデムチップの新旧比較
表1:Apple独自モデムチップの新旧比較[クリックで拡大]出所:テカナリエレポート

 iPhone18 Proにおいて、Quaocomm製モデムはミリ波搭載の一部(米国)モデルに継続搭載されているが、日本向けモデルはC2搭載品だけとなっている。C1モデムとC2モデムは、性能面の進化だけでなく、シリコン面積差がある。具体的には、C2モデムはC1モデムよりも約15%小さい(内部回路の大幅見直しがあった)

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る