神戸〜柏で775Gbps IOWN APNで長距離データ転送:SINET比で遅延約20%低減
国立情報学研究所(NII)と理化学研究所(理研)、東京大学、NTT東日本、NTT西日本は、次世代通信基盤「IOWN」のAll-Photonics Network(APN)を活用し、神戸と千葉・柏に設置されたストレージ間で超高速データ転送を実証した。800Gbpsの回線帯域に対し、最大約775Gbpsの転送速度を記録した。
神戸〜柏をAPNの800Gビット/秒回線で直結
国立情報学研究所(NII)と理化学研究所(理研)、東京大学、NTT東日本およびNTT西日本は2026年10月、次世代通信基盤「IOWN」に基づく技術「All-Photonics Network」(APN)を活用し、神戸市と千葉県柏市に設置されたストレージ間の超高速データ転送を行い、800Gビット/秒の回線帯域に対し750Gビット/秒を超える転送を実現したと発表した。
神戸市にある理研計算科学研究センター(R-CCS)では、スーパーコンピュータ「富岳」をはじめとする計算基盤の整備/運用によって、AIやシミュレーション、量子コンピューティングを連携させた研究環境の高度化に取り組んでいる。各研究拠点で得られたデータを高速かつ安全に共有できる通信基盤の整備もその一環である。
東京大学情報基盤センターは、これまでの計算科学に加え、「AI for Science」に向けて計算基盤の提供とユーザーに対する支援を行ってきた。こうした中で、大規模データを低遅延で安定的に利活用できるネットワーク基盤の整備も進めてきた。理研とは共同で、それぞれ約100ペタバイトのストレージを擁するHPCI共用ストレージを既に運用しているという。
今回の実証実験では、大阪府にある「NTT西日本局舎」と千葉県柏市にある「NTT東日本局舎」の2拠点間を、APNの800Gビット/秒回線で接続した。また、神戸の理研R-CCSおよび東京大学柏地区キャンパスは、それぞれ最寄りの局舎と400Gビット/秒×2回線で接続している。さらに、両拠点はNIIが運用する学術情報ネットワーク「SINET」でも接続した。実証実験の結果、実証環境におけるAPNの遅延値は、SINETに比べ約20%小さかった。
ファイル転送の実験では、2つの実用アプリケーションを用いた。理研と東京大学が運用する「HPCI共用ストレージ(第2世代環境)」と、NIIが開発した恒速(一定速度)/高速ファイル転送ツール「MMCFTP」である。MMCFTPは、NVMe SSD内蔵のNIIサーバを理研側と東京大学側に設置し、このサーバ間で転送を行った。NIIサーバは、各拠点のスイッチと1個の400Gビット/秒イーサネット(400GbE)および4個の100GbEによって接続されている。
研究グループは、転送アプリケーションの設定による速度の違いを検証した。2つのアプリケーションを同時に使用したところ、転送速度は最大約775Gビット/秒を記録した。この値は800Gビット/秒回線帯域の約97%に相当する。750Gビット/秒を超える転送速度を数分間継続できることも確認した。
研究グループは今後、APNを活用した大規模で高品質なデータ転送などに関する検討やPoC(概念実証)を行う計画である。なお、2026年11月に開催される国際会議・展示会「SC26」では、今回の実験環境のうち、400Gビット/秒の部分をSC26会場の米シカゴまで延伸し、MMCFTPを用いたファイル転送実験を行う予定である。サーバ間および国際回線を含む全区間で400Gbps以上の回線を用いる日米間のファイル転送実験は「世界初」(NII調べ、2026年10月末時点)という。
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