特集
汎用マイコン市場にもARMコア、産業機器や家電に広がる:プロセッサ/マイコン ARMマイコン(3/3 ページ)
携帯電話機やスマートフォンだけでなく、汎用マイコン市場もARM コア…。汎用マイコン市場でも、アームのプロセッサコアを採用した「ARM マイコン」の存在感が高まっている。
マイコンコアの互換性に注力するルネサス
ルネサス エレクトロニクスは、2010年4月の統合後、5つのマイコンコアを併存すると表明している。2010年10月、マイコンの製造コストを抑え、顧客のソフトウエア資産を守るため、複数の戦略を発表した。
マイコンの製造コスト低減のために、マイコン周辺回路の共通化を進める。新規のマイコン製品の開発期間短縮を、従来の2/3に短縮できるという。具体的には、ルネサス テクノロジとNECエレクトロニクスがそれぞれ利用していた開発プラットフォームを持ち寄り、「MCU設計プラットフォーム」としてまとめた。コアと内蔵メモリ、周辺機能部品を選ぶだけでマイコン製品が完成する仕組みである。ただし、コアやメモリなどを製造技術の世代ごとに最適化し、あらかじめ同社内で検証を施しておく必要がある。
図A 顧客のソフトウエア資産を守る マイコンの周辺回路の共通化を進めるとともに、開発環境を統合する。マイコンが異なっても同一の統合開発環境(IDE)を利用できるほか、デバイスドライバソフトウエアも共通化する。
ソフトウエア資産を守る方策も複数講じる。まず、マイコン上で動作するソフトウエアをユーザー企業が開発する際の負担を減らす。マイコンが異なっても同一の統合開発環境(IDE)を利用できるほか、デバイスドライバソフトウエアも共通化する(図A)。
「当社は開発環境やドライバソフトウエア、各種共通周辺IPを提供することで、どのマイコンを利用しても同じソフトウエアが利用できるようにする。ARMコアを採用しているマイコンメーカーは多数あるが、当社のように同一のツール、同一のIPが使えるようにはなっていないため、ソフトウエアの共通化は難しいだろう」(同社)。(畑陽一郎)
関連キーワード
マイコン 関連 | マイコン | Cortex | ルネサステクノロジ | 富士通セミコンダクター | 統合開発ツール | NXPセミコンダクターズ | STMicroelectronics | Texas Instruments
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- Appleの最新プロセッサ「A5」、倍増したチップ面積の謎に迫る(前編)
A5プロセッサは、前世代のA4プロセッサに比べてチップ面積が2.3倍と大きい。シングルコアのA4に対し、A5はデュアルコア化されている。しかしそれだけでは、ここまでチップ面積が増える説明がつかない。なぜA5はこれほどまで大型化したのか。その謎を分析する。 - Appleの最新プロセッサ「A5」、倍増したチップ面積の謎に迫る(後編)
「iPad 2」に搭載されたA5プロセッサは、「iPad」のA4プロセッサに比べてチップ面積が34mm2も増えた。この増加分はA4のチップ面積の64%に相当する。AppleはCPUとGPUをデュアル化しただけでなく、他にも差別化につながる回路を組み込んだに違いない。 - IntelがAtomのロードマップを修正、消費電力でARMに匹敵すると主張
- Windows 8が対応するARM SoCはどれか、3社が勝ち、4社が負ける可能性