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「ムーアの法則継続のために」、ASMLがSamsung/TSMCに自社株の売却交渉ビジネスニュース 企業動向

Intelに株式の15%を売却することが決定しているASMLは、Samsung、TSMCともASMLの株式売却と研究資金の投入について交渉を進めていると発表した。

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 リソグラフィ装置メーカーであるASML Holdingは、同社の研究開発プログラムに基づき、自社株式の最大10%をSamsung ElectronicsとTSMCに売却すべく、交渉を進めていることを明らかにした。

 ASML Holdingは先日、Intelに対して自社株式の15%を売却することで合意したばかりだが、今回の交渉も、それと同じプログラムに基づいている。IntelとSamsung、TSMCの3社に対して、ASML Holdingの25%の株式に関する先売権をオファーする形となる。ASML HoldingのCEO(最高経営責任者)であるEric Meurice氏は、2012年7月10日に行ったアナリストとの電話会議において、「今回の株式売却に関する交渉は、ムーアの法則を継続するための手段として行っている」と述べている。

 ASML Holdingは2012年7月9日に、同社の株式の15%をIntelに売却することで合意したと発表した。これは、極端紫外線(EUV)リソグラフィ技術や450mmウエハーの製造技術などの研究を継続するための資金調達の一環であるという。ASML Holdingは、最大25%の株式を売却予定である。そのうちの15%はIntelが取得することになっているので、残りの10%をSamsungとTSMCに売却すべく交渉を行っている。交渉が成立すれば、SamsungとTSMCは、研究資金として約6億米ドルを、株式10%取得分として約20億米ドルを、ASML Holdingに支払うことになるとみられている。

 Meurice氏は、アナリストとの電話会議の中で、「ASML Holdingは、当社の3大顧客であるIntelとSamsung、TSMCに、研究資金と少数株主持分を組み合わせるというアイデアを持ちかけた。過去6〜9カ月にわたり、当社の株式の25%を売却すべく交渉を進めてきた」と話している。

 ASML Holdingによると、今回のプログラムが全て完了すれば、研究開発資金として約13億8000万ユーロ(約17億米ドル)を調達できる他、株式の売却によって約41億9000万ユーロ(約51億6000万ドル)を得られるという。株式の売却による収益は、全てASML Holdingの既存の株主に還元される予定だ。

 Meurice氏は、「一番乗りはIntelだ。他の2社よりも決断が速かった。TSMCとSamsungに関しては、現在も交渉を進めている最中だ」と述べている。

 さらに同氏は、「Intelの他、SamsungとTSMCだけで25%の株式をカバーできるかどうかは定かではない。SamsungとTSMCによる取得の割合が低い場合には、他の企業にも参加してもらうかもしれない」と付け加えた。

 同氏は最後に、「当社としてはこれら3社を確保したいが、他に加わる企業が現れるかもしれない。また、SamsungやTSMCとの間で合意に達しなかった場合は、Intelとの交渉だけで終了する可能性もある」と語った。

【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】

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