鳥インフルエンザのまん延も防げる? ルネサスが重さ1.1gのセンサーモジュールを展示:ET2012
ルネサスは、生体管理や自然災害モニタリングなどの用途に向けた、小型かつ低消費電力のセンサーモジュールを展示した。
ルネサス エレクトロニクスは、「Embedded Technology 2012/組込み総合技術展(ET2012)」(2012年11月14〜16日、パシフィコ横浜)において、生体管理用と環境管理用のセンサーモジュールを展示した。同社は以前よりM2M(Machine to Machine)向けにマイコンなどを販売しており、今回はM2Mの用途をさらに広げることが狙いだという。
生体管理用は、主に家畜やペットの飼育、福祉や介護支援といった用途に向ける。モジュールにはルネサスの16ビットマイコン「RL78」、3軸加速度センサー、温度センサー、周波数解析やフィルタ処理を行う回路が搭載されている。温度センサーで体温を測定し、加速度センサーで活動量(睡眠中など)を測定する仕組みだ。動物や人間の身に付けて使うことを想定しているので、外形寸法は11×15mm、重さは1.1gと小型である。
ルネサスの担当者は、用途の一例として鳥インフルエンザのモニタリングを挙げた。「鳥インフルエンザにかかった鳥は、体温が徐々に上昇していく。今回展示したような小型のセンサーモジュールを使って鳥の体温を常時モニタリングすれば、鳥インフルエンザにかかった鳥を早期に発見し、ウイルスのまん延を最小限に抑えることができるかもしれない」(ルネサスの担当者)。
自然災害のモニタリングを想定
環境管理用のセンサーモジュールは、市場のニーズもあって、主に自然災害のモニタリングを行う用途を想定している。
同モジュールは、蓄電制御部、センサー解析部、RF制御部で構成されており、太陽電池パネルを取り付けたモニタリングポストに、電池やキャパシタとともに搭載して使う。地滑りや雪崩、洪水などで、設置したモニタリングポストが倒れると、センサー解析部に搭載した加速度センサーがそれを検知する。次に、「モニタリングポストが倒れた」という情報が、無線で基地局に送信される仕組みだ。
RF制御部には、IEEE 802.15.4gに準拠した、920MHz帯対応の無線送受信チップが搭載されている。3G携帯電話を利用する通信は、920MHz帯を使う場合に比べて消費電力が高いので、サブGHz帯を選択したという*1)。
*1)920MHz帯を利用した無線通信は、“子機”として設置されるモニタリングポストと、“親機”のモニタリングポストの間のみで行われる。親機は、子機から送られた情報を基地局に送信するが、その際は3G通信を使うという。
センサー解析部には、加速度センサーや温度センサー、ROM、マイコンの他、マイクが搭載されている。ルネサスの担当者は、「例えば、地滑りの前に鳴る地響きの音などを拾えるようにした」と説明する。
ルネサスによると、同モジュールを搭載したモニタリングポストを使った実証実験が、まもなく開始される予定だという。
「屋外で使用する場合は、昼間は太陽光で発電し、夜はキャパシタに蓄電した電力で動作させることを想定している。今後は、屋内に設置する場合に向けて、環境発電をうまく活用できるようなモジュールの開発を進めていきたい」(ルネサス)。
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