OLED、中小型ディスプレイ市場で伸び盛り:ビジネスニュース 業界動向
Samsung Electronicsが、有機ELディスプレイ(OLED)を採用したスマートフォン「Galaxy S」を2010年に発売して以来、有機ELディスプレイは、中小型ディスプレイ市場に順調に普及している。
アクティブマトリクス式有機ELディスプレイ(AMOLED)は、2012年に中小型ディスプレイ(9インチ未満)市場全体の6%のシェアを獲得し、2015年にはその2倍以上となる13%に達すると予想されている。
米国の市場調査会社であるNPD DisplaySearchによると、有機ELディスプレイの出荷台数は、2012年に1億9100万台に達し、中小型ディスプレイ市場全体の8.4%のシェアを占める見込みだという。
NPD DisplaySearchで大面積ディスプレイおよびフラットパネルディスプレイ(FPD)材料部門のディレクタを務めるYoonsung Chung氏は、「Samsung Electronicsが2010年にAMOLEDを初めて採用したスマートフォン『Galaxy S』を発売して以来、AMOLEDは、有機ELディスプレイが中小型ディスプレイ市場に浸透する原動力になっている」と述べている。
携帯電話機は、引き続き有機ELディスプレイ市場の成長をけん引している。2012年の中小型OLED市場全体のうち、携帯電話機用途は69%のシェアを占め、2015年には83%に拡大すると予想されている。
Chung氏は、「現時点では、Samsung DisplayがAMOLEDの大半を生産している。だが、AMOLED技術の発展を促進するためには、より多くのメーカーがAMOLED市場に参入する必要がある。NPD DisplaySearchは、2013年には、特に台湾や中国のパネルメーカーが同市場に新規参入すると予想している。また、当社は、スマートフォン、娯楽用機器、デジタルスチルカメラ、および家電といった用途に向けた有機ELディスプレイが、さらなる需要を呼び起こすとみている」と述べた。
有機ELディスプレイの製造には、経験や、非常に繊細な技術が必要となるため、新規参入するメーカーにとって、AMOLED技術を幅広く採用するには課題が伴う(関連記事:有機ELディスプレイ、「日本に勝機は必ず訪れる」)。NPD DisplaySearchによると、AMOLED市場への参入に成功するには、平均で5年かかるという。さらに、AMOLED技術は生産コストが高く、その点は明らかに需要に影響を及ぼす。
【翻訳:平塚弥生、編集:EE Times Japan】
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