インドがウエハーファブを国内に設立か:ビジネスニュース
インド政府はインド国内のウエハーファブの建設について、2013年第1四半期中に何らかの決断を下すとされている。ファブが建設されれば、インドの製造業の成長を促す材料になるだろう。
インドは長年にわたり、国内にウエハーファブを建設する計画について検討してきたが、これまでその決断を先送りにしてきた。だが、インドの半導体業界をよく知る人物によると、インド政府が2013年3月末までに、建設の実行に向けた決断を下す可能性が高いという。
インドは何年もの間、国内にウエハーファブを設立することについて検討を重ねてきた。当初は、その計画を進めるかどうかについて、2012年末を目途に決断を下す予定だとしていたが、その期限を過ぎても何も決まらないままだった。
しかしここにきて、業界の観測筋は、「インド政府はまもなく、ウエハーファブの設立計画を実行するという決断を下すはずだ」と確信しているという。観測筋は、このような楽観的な見方をする根拠として、インド政府が2012年に、国内のエレクトロニクス製造業を促進するための政策をいくつか策定したことを挙げている。さらに現在、他の政策についても検討している最中だという。
インドの半導体業界団体「ISA(India Semiconductor Association)」の代表者は2013年1月、「インドのエレクトロニクス製造業は今後、飛躍的に成長する見込みだ」との展望を明らかにした。
ISAと米国の市場調査会社であるFrost & Sullivanがインド市場について実施した調査結果によれば、インドのエレクトロニクスおよびシステム設計、製造などの市場は、2011〜2015年に年平均成長率約10%で伸びる見込みだという。これらの市場規模は、2011年には666億米ドルだったが、2015年には942億米ドルにまで達するとみられている。
ISAは、「極めて高い成長率が期待できる。今後は、インド国内で製品開発や、付加価値の高い製造業を発展させていける」と述べている。
ただし、不安要素も存在する。現在、インド国内では、エレクトロニクス製品の需要の65%を輸入品で賄っているという点だ。
また、この他の懸念材料として、インドにおいて高付加価値の製造業が減退すると予測されていることが挙げられる。2012年のインドのエレクトロニクス市場規模は448億1000万米ドルだったが、このうち高付加価値の製造業の規模は、わずか35億5000万米ドルに過ぎなかった。ISAは、「このように高付加価値製造業が低迷すると、2015年までに累積する機会損失は2000億米ドルに達すると予測される」と懸念する。
2012年におけるインド市場の半導体売上高は、約65億4000万米ドルだった。また、同年におけるインドの半導体設計市場は、年平均成長率17%で伸び、100億米ドルを超える規模に達するとみられている。具体的には、VLSI設計が13億3000万米ドル、組み込みソフトウェアが85億8000万米ドル、ボード/ハードウェア設計が6億7200万米ドルになると予測されている。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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