「10年先を見据えた戦略」、Samsungが11億ドルのシードファンド設立:ビジネスニュース 企業動向(2/2 ページ)
Samsung Electronicsが、計11億米ドル規模のシードファンドを設立する。材料、半導体、インフラといった分野に積極的に投資し、技術革新を進めるという。業界関係者は、こうしたSamsungの姿勢について、「10年先を見据えた適切な戦略」だとコメントしている。
他のベンチャーキャピタルも、SamsungとSohn氏の戦略を称賛している。
米国のベンチャーキャピタルであるKhosla Venturesの創設者であるAtiq Raza氏は、「Samsungは10年後を見越した戦略を構え、適切な方向に進んでいる。戦略が順調に進められれば、同社は、経済的に重要なあらゆる市場セグメントで影響力を持つようになるだろう」と述べている。
Intelをはじめとする半導体メーカーは、長きにわたってベンチャーファンドやシードファンドを運営し、半導体ベンチャーのエコシステムを育成するとともに、企業合併の中心的存在となってきた。Samsungはこうした企業の仲間入りを果たすことができそうだ。
Sohn氏は、「当社は、将来的な展望を見据え、長期的な視点で、物理学や材料に注目している。これらの課題を克服できれば、長期にわたって素晴らしいリーダーシップを発揮できる可能性が高いからだ」と述べている。
優勝賞金1000万米ドルのコンテストも開催
今回創設されるシードファンドの従業員は100人よりもかなり少ないが、技術者を中心に雇用しているという。また、同社は2013年後半に、「SamsungCreate Challenge」というコンテストを開催する。エンジニアやアーティスト、高校生以上の学生を対象とし、優勝者には1000万米ドルの賞金が授与されるという。
なお、Sohn氏は、2012年8月にSamsungに加わった人物だ。同氏は、Intelで10年間勤務した後、ハードディスクメーカーのQuantumで共同社長として6年間務めた。その後、Agilentの社長に就任。さらに、通信用半導体の新興企業であるInphiのCEO(最高経営責任者)も務めた。Inphiは、Samsungからの投資を受け、2010年に株式公開している。
Samsungはこの他、米国カリフォルニア州パロアルト付近に、メディアとコンテンツに特化したファンドを設立する計画もあるという。Sohn氏は、「この計画については、近く発表する予定だ」と述べている。
【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
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