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ARMの次期CEOが抱える10の課題(前編)ビジネスニュース オピニオン(2/3 ページ)

ARMは、2013年6月に新CEOを迎える予定だ。同社の業績は順調だが、残っている課題も多い。新CEOが今後直面するであろう10個の課題を挙げる。前編では、モノのインターネット分野やエクサスケールコンピュータ分野への進出について考える。

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【2】IntelをARMライセンシーにする

 多くの半導体企業が、ARMアーキテクチャを採用している。そのARMにとって最大のライバルが、x86アーキテクチャと最新鋭の製造能力を保有する、半導体業界の王者Intelだ。

 だが、そんなIntelも、ARMのライセンシー(ライセンス利用者)だった時期がある。Intelは、ARMベースの「StrongARM」アーキテクチャを開発したDigital Equipment Corp(DEC)の半導体部門を買収し、1997〜1998年にかけて同アーキテクチャを採用していた。Intelは、2000年にStrongARMの後継となる「XScale」を発表したが、大きな成功を収めることはできなかった。結局、XScaleの事業部は、2006年にMarvell Technology Groupに売却されている。

 Intelは、低迷が続くPC市場で苦戦を強いられている。2013年5月には、現在のCEOであるPaul Otellini氏が退任する予定だ(関連記事:IntelのCEO交代まで1カ月、後継者は元幹部?)。

 Segars氏は、Intelの次期CEOに対して、「IntelがPC市場以外で躍進を目指すには、ARMのライセンスを利用することが得策だ」と説得できるだろうか。もちろん、IntelがARMアーキテクチャを採用することを喜ばないARMライセンシーもいるだろう。だがARMは、同社のアーキテクチャを幅広くライセンス供与し、ライセンシーが、プロセッサコア以外の技術を競い合うように促すことで、独自のビジネスモデルを築いてきた。


関連記事1:ARM vs. Intel:プロセッサアーキテクチャの覇権はどちらの手に?
関連記事2:Intel、ARMの新GPUの半導体パートナーに

【3】ターゲット分野を拡大する

 ARMは、グラフィックスIP(Intellectual Property)の分野にも進出した。2006年6月にはノルウェーのグラフィックスIP会社であるFalanx Microsystemsを買収し、グラフィックスコアを強化している。グラフィックスコア「Mali」は、いまやImagination Technologiesの「PowerVR」シリーズに次ぐ市場第2位のグラフィックスコアとして成功を収めるまでになった。

 だが、システムに搭載されるプロセッサの数が多くなれば、今後は新たなソフトウェアアーキテクチャや、デジタル/アナログアーキテクチャが求められるようになるだろう。

 Segars氏はその対策として、グラフィックス処理以外にも、より正確な処理を行える命令セットを実装するプロセッサの開発を検討する必要があるだろう。それは例えば、画像センサーに近い認識処理を行うものや音声処理を行うもの、ソフトウェア無線を搭載した省電力プロセッサといったものかもしれない。

 同社はこの他にも、不揮発性メモリやRF通信などにも目を向けていくべきだ。


HSA Foundationのロゴ 出典:HSA Foundation

 同時に、ARMはさらなる高みを目指す必要がある。同社は、ヘテロジニアスコンピューティングアーキテクチャ(HSA:Heterogeneous System Architecture)の普及を推進する業界団体「HSA Foundation」と協力して、CPUとGPUを統合したマルチプロセッサの開発に取り組んでいる。マルチコアのヘテロジニアスコンピューティングにどのアーキテクチャが採用されるかは、ソフトウェアフレームワークと中間言語によって決まる。


関連記事:100億個規模のCPUコア市場、ARMが独占状態

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