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“Japanese English”という発想(前編)「英語に愛されないエンジニア」のための新行動論 ―番外編―(2/4 ページ)

「自分は英語が話せない」――。皆さんがそう思うときは、多かれ少なかれ米国英語/英国英語を思い浮かべているはずです。ですが、「英語」とは米国英語/英国英語だけではありません。英語は、世界中の国の数だけあるのです。もちろん日本にもあって、それは“Japanese English(日本英語)”に他なりません。そして、このJapanese Englishは、英米の2カ国を除けば概ね通じるものなのです。

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英語が「通じる」「通じない」のボーダーラインはどこ?

 では最初に、「コミュニケーションとは何か」ということを再考してみたいと思います。

 以前から何度も使っている事例ですが、海外の人が、「ワタシ / シンジュク / イク / キップ」の4つの単語を並べれば、「ああ、この人は新宿行きの切符を買いたいのだな」と理解できます。私自身、この方法(単語のみの羅列)で、世界中の英語の通じないエリアを、一人で歩いてきました。

 しかし、『そのやり方では、ビジネスとしては使いものにならないのじゃないか?』 ―― と、考えられるかもしれません。

 私は現在、日本でも有数の、大量のエンジニアを雇用する会社に勤務しており、そこで本当にさまざまなエンジニアの方とお話をさせて頂く機会を得ました。その話をまとめて、導いた結論が、第6回でご説明した「技術英語」という概念です。


「技術英語」が対象としている範囲は、非常に狭い

 さらに、この「技術英語」の考え方すらも必要ない究極のコミュニケーション「ジェスチャー」のお話をしてもらったこともあります。その方は「指差し」と「両腕で○と×を示すジェスチャー」だけで、製造現場の製品不良を検出する仕事をされていたそうです。

 皆さんが使用されている、パソコンや家電製品、そして、生活インフラに至るまで、このレベルのコミュニケーションをベースに製作されている(場合もある)という事実を、まずは覚えておいて下さい。

 第二に、私たちの英語のレベルを検証します。

 この記事を読まれている、エンジニアの皆さんの英語は「通じます」。

 まず日本国内の日本人同士であれば、間違いなく通じるはずです(ふざけているわけではありません)。なぜなら、我が国の国民の教育は、国家の方針に従って、共通化されたプラットフォームの上で行われているからです。まったく同じ教育カリキュラムを受けている以上、私たちの英語は、良くも悪くも画一化されているのです。

 そして、私たちのこの英語は、特定の2カ国を除き、全世界で「通じます」。

 お隣の韓国、中国共に、ヒアリング、スピーキングともに大丈夫です。25年前の学生時代の私でも保証できます。東南アジアは、概ね全域O.K.。インド、スリランカ、中東の方の英語にはクセがありますが、そのうち慣れます(ヨーロッパでの英語は、ちょっと断言できないです)。

 そして、私たちの英語で、太刀打ちできない国が、米国と英国の2カ国です。

 では、私たちの英語が「通じる」「通じない」のボーダーはどこにあるのか?

 それは、英語を第二外国語として後発的に教育された国であるか、母国語として使用している国か、の違いにあります。

 前回の連載でお話した通り、英語を母国語としている米国人の多くが、世界中の人間が「英語を使えない」ことを理解できません。彼らは「世界共通言語=母国語」という勘違いをしているからです。しかし、「英語」は世界共通言語ですが、「米国英語」や「英国英語」が、世界共通言語というわけではないのです(後半でお話します)。

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