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“Japanese English”という発想(後編)「英語に愛されないエンジニア」のための新行動論 ―番外編―(1/4 ページ)

英語は米国英語/英国英語だけでなく、国の数だけあって、日本では「日本英語(Japanese English)」がそれに当たります。皆さん、気後れすることなく、この日本英語を使い、英語の“ようにみえる”メッセージを極東の国から怒涛(どとう)のように発信しようではありませんか。

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 われわれエンジニアは、エンジニアである以上、どのような形であれ、いずれ国外に追い出される……。いかに立ち向かうか?→「『英語に愛されないエンジニア』」のための新行動論連載一覧

※“Japanese English”という発想(前編)はこちらから

 英語教育の開始時期が、さらに早まる検討がされているようです(英語教育、小3へ前倒し 5、6年は正式教科に 文科省が方針)。

 一方で、私は、この連載の第3回「エンジニアが英語を放棄できない『重大で深刻な事情』」で、ゴールデンウィークの全日を返上して、「英語がしゃべれないと全く仕事にならんという人は、就労人口の4%程度」という推定値を算出しております。また、しゃべらないまでも、日常において英語の読み書きが必要であるという人は、10%にも満たないと推測しています。

 多分、文部科学省の人も分かっていると思うのですが、私は、これは「ニワトリとタマゴ」の関係だと思っているのです。

(1)英語を使いこなせない→グローバル展開できない
(2)グローバル展開できていない→英語を使いこなす必要が出てこない


画像はイメージです

 このような(1)←→(2)の負のループバックを破る最も簡単な方法は、一番立場の弱い人間を犠牲にすることです。つまり「文句を言えない子どもたち」です。

 では、「文句を言える大人たち」は何をやっているのか。

 保護者を除いて、大人の代表格といえば、政治家の皆さんということになるでしょうが、私は、彼らが国会答弁を英語でやるところを見たことがありません。そこまで言わなくとも、国連の演説や首脳会談の共同発表の場で、通訳を付けて日本語でスピーチをしているところをニュースで見た子どもたちが、

『これは、本当に英語をかんばらなければいけないな』

と思うでしょうか?*1)

*1)NHKのラジオ英語ニュースでは、コメントを求められた非英語圏の外国の政治家や官僚たちは、簡単な単語を一語づつポツリポツリと区切りながらも、それでも自分の言葉でしゃべっています(感動で涙が出そうになります)。

 「僕みたいな情けない大人にならないよう、しっかり学んで」と発言した大阪市の市長は、率直で誠実であったとも言えます。しかし、子どもたちは、『ならば、どうして、あなたは今からでも英語を勉強しないのですか?』と思うのではないでしょうか。

 「下手な英語をつかって海外に誤解されたら、国益を損なうから」という理由は、英語を勉強させられる子どもにとっては、単なる“言い訳”にしかなりません。なぜなら、その理屈を押し通すのであれば、全ての日本国民は通訳を付けてグローバル展開をすればよい、という話になるからです。そもそも、子どもは、こういう言い方で逃げる大人を「ずるい」と看破する能力があります。

 現在の英語教育のポリシーのままであれば、その開始の時期を、小学3年生にしようが、幼稚園にしようが、出産直後にしようが、全く無駄だろうことを私は「知っています」。

 「思っている」のではありません。「知っている」のです。

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