マキシムがPLC向けDC-DCコンICに注力、耐圧60Vで電力効率93%を実現:ビジネスニュース 企業動向
Maxim Integrated Products(以下、マキシム)は、日本市場においてPLC(Programmable Logic Controller)向け電源ICの受注獲得に力を入れている。その1つが入力電圧4.5〜60Vで、出力電流が最大2.5Aの同期整流型DC-DCコンバータIC「MAX17503」である。電力効率が高く、発熱をほぼ半分に抑えたことで、電源回路部の小型化を可能とする。
Maxim Integrated Products(以下、マキシム)は、日本市場において「産業/医療」と「自動車」の分野に重点を置き、市場の開拓に取り組んでいる。特に、産業分野ではPLC(Programmable Logic Controller)向け電源ICの受注獲得に力を入れている。その1つが入力電圧4.5〜60Vで、出力電流が最大2.5Aの同期整流型DC-DCコンバータIC「MAX17503」である。電力効率が高く、発熱をほぼ半分に抑えたことで、電源回路部の小型化を可能とする。
PLCやCNC(コンピュータ数値制御)装置、あるいはプロセス制御やモータ制御を行うためのI/Oモジュールといった産業用機器では、多機能/高機能化が進むと同時に、小型化の要求が高まっている。これらを実現するために、高電圧の電源システム/モジュールでは電力効率の改善が大きな課題の1つとなっている。その上、機能安全などの規格にも準拠しなければならない。
2013年9月に同社が発表したMAX17503は、安全/品質などの規格に対応しつつ、小型/高機能化が進む産業用機器に向けて設計した同期整流型DC-DCコンバータICで、耐電圧が最大60V、出力電流が最大2.5Aである。同期整流方式のDC-DCコンバータICは、ダイオード整流方式の製品に比べて、極めて高い電力効率が得られるのが特長だ。インダストリアルパワー製品のビジネスディレクタを務めるAnil Telikepalli氏は、「これまで同期整流方式のDC-DCコンバータICは、耐電圧が最大12V程度の製品に限られていた。今回は、耐圧が60Vと高電圧の製品ながら、独自の設計技術とプロセス技術によって、ローサイドのスイッチにもMOSFETを内蔵することができた」と話す。
MAX17503は、電力効率が最大93%で、パルス幅変調(PWM:Pulse Width Modulation)方式とパルス周波数変調(PFM:Pulse Frequency Modulation)方式の両方をサポートしているため、出力電流が小さい用途の場合でも、高い電力効率を確保することが可能となった。非同期型DC-DCコンバータICに比べて発熱量は約半分となり、ヒートシンクなどの放熱対策部品を小型化あるいは削減することが可能だ。こうしたことから、電源回路部の占有面積を最大50%削減できるという。スイッチング周波数範囲は200k〜2.2MHzである。
MAX17503の動作温度範囲は−40〜125℃、パッケージは外形寸法が4×4mmの20端子TQFNで供給する。参考価格(米国での単価)は1000個以上購入した場合に1.94米ドルより。
なお同社は、産業機器向けを中心とした同期整流型DC-DCコンバータICのファミリとして、今後は出力電流が25mA〜50Aの製品群や、センサー用途などに向けた出力電流が4〜20mA製品なども用意していく予定である。
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