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海外出張報告の極意――最後まで「英語に愛されないエンジニア」らしくあれ「英語に愛されないエンジニア」のための新行動論(最終回)(2/4 ページ)

海外出張は、会社への業務報告で幕を閉じます。しかし、「英語に愛されない」エンジニアが、一部の隙もない完璧な報告をできるとは思えません。実は、それでよいのです。英語に愛されないエンジニアは、“英語に愛されない”という、その特性を最後まで生かして、報告会を乗り切るべきなのです。最終回となる今回の実践編(報告)では、その方法をお伝えします。

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 こんにちは、江端智一です。

 今回は本連載の最終回、「報告編」となります。

 業務報告のプレゼンテーション*1)や、報告書の作成方法*2)については、既に詳細を説明しましたので、今回は方法論は割愛し、報告のマインド面についてお話したいと思います。

*1)非核三原則に学ぶ、英語プレゼンのポイント
*2)プレゼンテーション資料はラブレターである

 全ての業務には必ず報告が必要です。会社の命令と資金によって出張してきた以上、業務報告は当然の義務です。

 業務報告には、大きく2つの方法があります。

(1)裏の取れていない不確かな情報を排除して、確認した情報のみを淡々と報告するもの
(2)不確かな情報も取り込み、一つのストーリー(シナリオ)を創作して報告するもの

 (1)については、意思決定を他人(幹部とか上司)任せにできるという気楽さがあり、また、サラリーマンの保身の観点からお勧めできます。ただ、このような断片的な情報の破片による報告の結論は、曖昧なものになります。第二次世界大戦中、英国首相のチャーチルが、このような外務省や諜報機関からの報告に「キレた」という話は有名です。

 (2)は、(1)のメリットとデメリットが入れ替わることになりますが、第二次世界大戦中に、日本国のドイツ大使が、日本政府に、行きすぎた仮説や推測に基づく報告を繰り返し、日本の外交方針を誤らせたという話があります。

 業務報告は、客観的かつ具体的に行う必要がありますが、海外出張の報告は、これだけでは十分ではありません。

 大切なのは「空気(雰囲気)」を報告することです。実際に現地にいた者による現地で感じた所感が、会社の意思決定に多大な影響を与えるからです。単なる事実や数値の積み上げではない、ライブ感あふれるホンネの生情報にこそ価値があるのです(関連記事:誰も望んでいない“グローバル化”、それでもエンジニアが海外に送り込まれる理由とは?)。

 いずれにしても、業務報告が、私たちの会社と私たち自身の命運を決定する重要なミッションであることには間違いがありません。


 しかし、私たち「英語に愛されないエンジニア」には、上記の(1)、(2)を選ぶ余地はありません。

 例えば、私の英語スキルは、「確かな情報」ですら「不確かな情報」に変えてしまうほどお粗末なものであり、ストーリーとして組み上げるだけのネタも残らないのです。

 すると「不確かな情報」のみをベースとして、ストーリーの構築を行うことになるのですが、自分ですら信じていないストーリーを報告することは、エンジニアにとっては苦痛以外の何ものでもありません。

 それは、エンジニアが、基本的に真面目で、誠実で、正直で、純真で、そして裏表のない素直な性格をしているからです(私もエンジニアです)。

 なぜ、エンジニアがそのように振る舞うのかというと、そもそも、私たちエンジニアが開発する回路や装置やシステムが、そのように取り扱わなければ、絶対に動き出さないモノであるからです。

 そのようなモノと対峙する日常は、私たちエンジニアを、確実なものだけを信じ、不確かであやふやな情報は排除するような人間に変えてしまうのです。

 エンジニアたちが、業務を遂行していく上で、「英語」という不安定で不確実な情報源を遮断しようとするのは、むしろ当然と言えます。それは生物の免疫機能が、ウイルスを駆逐するのと同じことです。

 つまり、「英語に愛されないエンジニアが存在している」というよりは、そもそも、「エンジニアは、英語とは一緒に生きていけないようにできている」のです。

 しかし、世の中は(特に「グローバル化」というやつは)、エンジニアである私たちに、英語という名の「ウイルス」を保有したままで、生きろと命じます。ならば、私たちエンジニア自身が、自らを改造していくしかありません。英語という「ウイルス」に対する抗体を得なければ、私たちは、エンジニアとして生き残ることができないからです。

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