エンジニアが最重要視するリファレンスデザインを見直し、強化――マキシム:ビジネスニュース 企業動向(2/2 ページ)
Maxim Integrated Productsは、半導体製品販売サポートの一部として提供するリファレンスデザインの開発強化を実施している。リファレンスデザインの開発専門チームを新設し、「完全で、競合他社よりも優れたリファレンスデザインの開発を加速させる」(同社)という。
「競合より優れた完全なソリューション」
こうした開発コンセプトの下、リファレンスデザイン専門チームは2012〜2013年、インタフェース/電源分野を中心にリファレンスデザインの開発を実施し、10を超えるリファレンスデザインを提供してきた。
その1つで、「Corona」と呼ぶリファレンスデザインは、絶縁型の8チャンネルデジタル入力トランスレータ/シリアライザだ。こうした多チャンネルの絶縁型デジタル入力は、チャンネルごとに絶縁素子が必要になり、システム規模が大きくなりやすい。加えて、絶縁素子に経年劣化する光デバイスを使用すれば、故障リスクも大きくなってしまう。これに対し、Coronaは、デジタル入力トランスレータ/シリアライザの「MAX31911」によりデジタル入力をシリアル化し、チャンネル数を削減。さらにLEDを使用しない独自デジタル絶縁デバイス「MAX14850」も使用し、小型化と信頼性向上を実現。さらに絶縁型設計を簡素化する36V Hブリッジトランスドライバ「MAX13256」を搭載し、実用性も備える。「サイズ、コストを大きく抑制できるソリューションとして、産業機器用途などで好評なリファレンスデザインだ」という。
マキシムでは2014年以降、リファレンスデザイン開発のペースをさらに加速させ、インタフェース/電源分野に加え、センサーやエネルギー、医療、セキュリティといった分野向けのリファレンスデザインを拡充していく方針だ。
センサー分野では既に、超低消費電力で動作する工業用スマート温度トランスミッタのリファレンスデザイン「Novato」やIO-Link照度センサーのリファレンスデザイン「Santa Cruz」をリリース済み。NovatoはHART通信プロトコル対応で、温度検出精度を決めるA-D/D-Aコンバータには、16ビット分解能品を使用し、−200℃から+850℃という過酷で広い工業用途温度範囲で±0.1%ないし、±1.0℃という高い精度の温度測定を実現するという。さらにこの高い精度を、ルネサス エレクトロニクスのマイコン「RL78/G13」なども使い、消費電流を3.2mA以下に抑えながら達成するという。「設計は極めて難しい、消費電力を抑えつつ高い精度を維持した温度センサーシステムを簡単に実現可能なソリューションだ」と胸を張る。
エネルギー分野向けのリファレンスデザインとしてもこのほど、主にスマートメーター用の高精度AC測定システム「Sonoma」をリリース、小さい基板サイズながら、校正を行わなくても誤差3%以内という高精度エネルギー測定が行えるという。
「(専門チーム設立後)合計15種程度のリファレンスデザインを開発し、数百のリファレンスボードが出荷され、それらを使ったエンドプロダクツの設計が行われている。これまで年間10種程度だった開発ペースを、3カ月に4〜8種に加速させて、さらにマキシムの製品採用の拡大に貢献していく」としている。
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