東京オリンピックは8Kで見たい! NHK技研が関連技術を続々公開:2016年には試験放送が開始予定(2/2 ページ)
NHK技術研究所の「技研公開2014」では、スーパーハイビジョン(8K)関連の要素技術が数多く紹介された。東京オリンピックが開催される2020年の本放送開始を目指し、開発が進められている。
8K SHV放送をケーブルテレビで
8K SHV放送をケーブルテレビで配信するデモも行われた。現行のケーブルテレビのチャンネルのうち、使っていない複数のチャンネルに8K SHV信号を分割して伝送し、受信機でそれらを合成するというもの。
今回のデモでは、ケーブルテレビ局のヘッドエンドから、8K SHV信号を256 QAM×2波、64 QAM×1波に3分割して伝送し、技研公開の展示会場に設置した受信機で3波を合成、リアルタイムで145インチディスプレイに表示した。NHK技研は「使っていないチャンネルに3波を割り込ませるイメージ。この方法であれば、既存の伝送路をそのまま利用できる」と述べている。
8K SHV対応の衛星放送システムも順調に開発中
データ量が多い8K SHVの放送システムでは、映像を効率的に圧縮する符号化技術と、大容量の衛星伝送技術が重要になってくる。2016年の試験放送では、映像をMPEG-H HEVC/H.265で圧縮し、高度広帯域衛星伝送技術を用いて伝送する予定だ。MPEG-H HEVC/H.265は、2013年に標準化が完了したばかりの最新の符号化方式である。NHK技研は、同方式に対応したエンコーダを展示した。デコーダは現在、開発中である。さらに、16APSK(7/9)を採用することで、衛星中継器1チャンネルで約100Mビット/秒の信号を伝送することが可能になった。1チャンネルで1つの8K SHV番組を送れるイメージである*)。
*)現在は、衛星中継器1チャンネルで2つのハイビジョン番組を伝送している。
2020年のリビングルームには……
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