Samsungが14nm世代のFinFETを展示、仕様は明かさず:プロセス技術
Samsung Electronics(サムスン電子)が、ARM主催のイベントで14nm世代のFinFETプロセス技術を適用したチップを発表した。TSMCもその直前に16nm FinFETプロセスを用いたARM「Cortex-A57」の検証を行っているが、ある専門家は、16/14nm FinFETの性能については、SamsungとTSMCは互角だとみている。
Samsung Electronicsは、米国カリフォルニア州サンタクララで開催されたARM主催の技術者向けイベント「ARM TechCon 2014」(2014年10月1〜3日)で、14nm世代のFinFET(立体構造トランジスタ)プロセス技術を適用したチップを発表した。ただし、同チップの開発状況や顧客企業名などの詳細については明らかにしていない。
SamsungはARM TechCon 2014のブースで、携帯電話機/テレビ向け高精細ビデオデコーディングアプリケーションプロセッサを披露した。ただし、同チップが同社の「Exynos」プロセッサファミリの次世代版であるかどうかは、明らかにされていない(関連記事:Samsungの「GALAXY S4」を分解、本丸はCortex-A7/A15の8コアプロセッサ)。
Samsungは既に、14nm世代FinFETプロセスの初期バージョンチップについて、顧客を複数獲得しているという。具体的な企業名は明らかにされていない。同チップの性能は完全に実証されており、製造も開始しているというが、Samsungは生産量についてもコメントを控えている。
Samsungの14nmチップに関するニュースは、同社のライバル企業であるTSMCのエコシステムフォーラム「Open Innovation Platform(OIP)2014」(2014年9月30日、米国カリフォルニア州サンタクララ)の開催翌日に明らかになった。OIP 2014では、TSMCのパートナー企業が、TSMCと共同開発した16nm FinFETプロセスに関する複数の論文を発表されていた。Samsungでファウンドリマーケティングマネジャーを務めるKelvin Low氏は、「16/14nm FinFETプロセス技術の開発競争は、こう着状態にある」と述べている。
ARM TechCon 2014に参加していたIntelの役員によると、TSMCはOIP 2014で、「当社の16nm FinFETプロセスチップを採用したARMの『Cortex-A57』で検証したところ、2.6GHzの処理速度を実現した」と説明したという。一方、Samsungは、14nm FinFETプロセスの仕様に関しては、一切明らかにしていない。
両社のプロセス技術に詳しいある情報筋は、「Samsungが情報を開示しないのは、同社がTSMCに後れを取っているからではない」と指摘する。同氏は、「TSMCは通常、同社の新プロセスのテストにARMコアを使用するが、SamsungはARMコアを使用しない。こうした違いはあるものの、両者の戦いはほぼ互角だ」と述べている。
SamsungとGLOBALFOUNDRIESは2014年4月に、14nmチップの製造でパートナーシップを結んだと発表したが、ARM TechCon 2014で「今後も、この提携関係を続けていく」と述べた(関連記事:サムスンとGLOBALFOUNDRIESが14nmチップで提携、2014年内に製造開始へ)。両社は、2015年の14nmチップの量産開始に向けて、品質の安定や高性能化に取り組んでいく。
【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
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