『Fujisawaモデル』を世界へ、パナソニックの成長を担う“街”がオープン:ビジネスニュース 企業動向(2/2 ページ)
Fujisawaサスティナブル・スマートタウン(以下、Fujisawa SST)の中核施設となる「Fujisawa SST SQUARE」がグランドオープンした。代表幹事を務めるパナソニックは、Fujisawa SSTを「成長戦略のフィールド」と位置付ける。今後は「Fujisawaモデル」として、この取り組みを全世界に水平展開していく予定である。
根底に、松下幸之助の精神
パナソニックの役員を務める井戸正弘氏は、「100年ビジョンを担うFujisawa SST SQUAREの開業に続き、湘南T-SITEのサービスが12月より始まる。これを機に、Fujisawa SST構想はこれまでの『街を創る』フェーズから、『街を育てる』フェーズに移行する」と話す。また、会見当日が創業者である松下幸之助氏の生誕120年に当たることも紹介した。創業者が考える「立派な街づくりは、日本の国を立派にし、人々が立派になる」という精神が、Fujisawa SSTプロジェクトの根底にあるという。しかも、「住民、行政、事業者が一緒になって、立派な街を創り、育て、進化していくことがFujisawa SSTにおける挑戦でもある」(井戸氏)と語った。
パナソニックは、Fujisawa SSTを成長戦略フィールドと位置付けている。例えば太陽光発電システム、蓄電池、燃料電池といったエネルギー関連製品や、電動アシスト自転車とその運用技術、統合監視システムを含む高度なセキュリティシステム/製品など、最新の技術をFujisawa SSTに導入し実証を行う。これらの製品や関連技術の成果は、2020年開催の東京オリンピック・パラリンピックで予定しているさまざまなサービスにも結び付けていく考えだ。なお、パナソニックはFujisawa SST関連事業として、住宅分譲や商業施設への商材納入、サービスコンテンツの収入などを中心に、向こう30年間で400億円の売上高を見込んでいる。
道路沿いに設置された太陽光発電システム。通常は全量売電されるが、災害時などは近隣の住民にも開放され、携帯機器などの充電を行うことができる。個別住宅向け電力は、それぞれの屋根に設置された太陽光発電パネルで対応する。
国内外へも水平展開
さらに井戸氏は、「『藤沢モデル』の水平展開も計画している。大阪・茨木、神奈川の綱島と茅ヶ崎にある遊休地を活用していくことになる。具体的なスケジュールは2015年以降に発表することができるだろう。いずれは全世界に『藤沢モデル』を展開し、ノウハウなども含め情報を発信していきたい」と述べた。海外では中国・大連やマレーシアなどで同様のプロジェクトが進行しているという。
式典には、神奈川県知事の黒岩祐治氏も出席、来賓としてあいさつした。「エネルギー対策と高齢化社会の問題は、これから乗り越えていかなければならない大きな課題である。Fujisawa SSTには、これら解決すべきテーマが集約されている。世界に発信できるモデルを一緒に作り上げていきたい」と述べた。
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