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相次ぐリストラ、問われる真価――ルネサス 2014旧NECエレ1社分が消滅!?(4/4 ページ)

再建途上にあるルネサス エレクトロニクス。3度のリストラに、“優等生事業”の売却など2014年もいろいろあったルネサスの1年を振り返る。

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でも、2014年3回目、通算6回目の早期退職募集発表

 いよいよ、成長に向けて舵を切ったルネサスだったが、構造改革は決して終わったわけではなかった。

 2015年3月期第2四半期(2014年7〜9月)決算発表日の10月29日、業界を驚かせたのは、業績ではなく、“2014年3度目のリストラ発表”だった。

 ルネサスは2010年4月の発足以来、5度のリストラで約1万2千人を削減してきた。過去5度のリストラをみても、2012年10月の7511人をピークに、毎回、実施規模は小さくなり、大規模なリストラはもう実施されないかと思われた。

ルネサス、過去5回の早期退職優遇制度実施の変遷

  1. 2011年3月=1487人(対象:勤続5年以上の40歳以上従業員)
  2. 2012年10月=7511人応募(対象:全従業員)
  3. 2013年9月=2316人応募(対象:40歳以上総合職)
  4. 2014年3月=696人応募(対象:生産部門従業員)
  5. 2014年9月=361人応募(対象:設計開発部門従業員)

 しかし、発表された2014年3度目のリストラは、対象者が35歳以上の従業員ら1万4000人以上で、想定募集人員1800人と大規模なものとなった(退職日=2015年1月31日)。

 募集期間は2014年12月19日までで、まだ、応募人数は明らかになっていないが、想定通りの応募人数であれば、2015年2月時点の従業員数は2万2400人程度となる見込みだ。

旧NECエレクトロニクスが消滅!?

 2万2400人という従業員規模は、2010年4月の発足当初の従業員数4万8000人の半分さえも下回る。合併時の旧ルネサス テクノロジ従業員数約2万5000人はもとより、旧NECエレクトロニクスの2万2476人(2009年3月末時点)をも下回る規模となる。

 業績自体は、回復傾向にあることは明白だ。2013年1〜3月期から2014年7〜9月期まで7四半期連続で営業黒字を計上し、その規模を増やしている。さらに今期(2015年3月期)は、まで通期業績見通しは公表していないものの、第3四半期累計(2014年4〜12月)で461億円を見込むなど、発足以来初の通期最終黒字を達成する公算が大きくなっている。


2013年4〜6月期から2014年7〜9月期までの四半期業績の推移 (クリックで拡大) 出典:ルネサス エレクトロニクス

 ただ、売上高に目を転じると、事業譲渡や撤退の影響もあり、今期は減収傾向で前期(2014年3月期)の売上高8330億円を前後に落ち着く見通しだ。

 ちなみに、合併合意直前の2009年3月期の旧ルネサス テクノロジの売上高は7027億円(最終損益2033億円の赤字)。さらにその1年前の2008年3月期の売上高は9505億円(最終損益95億円の黒字)だった。

合併前と現ルネサスの比較
NECエレクトロニクス ルネサス テクノロジ ルネサス エレクトロニクス
時期 合併合意直前(2009年3月期実績) (2014年3月期実績)
売上高 5465億円 7027億円 8330億円
営業損益 ▼684億円 ▼966億円 676億円
純損益 ▼826億円 ▼2033億円 ▼53億円
従業員数 2万2476人 2万5000人 2万4200人
(2014年10月1日)

 利益こそ2009年3月期時点と比べれば、大きく改善しているものの、従業員数、売上高に関しては、現状のルネサス エレクトロニクスは、合併合意時のルネサス テクノロジとほぼ同規模。「合併により、旧NECエレクトロニクス1社分が消滅した」といっても過言ではないような状態になっている。

 東日本大震災での被災など会社存続さえ危ぶまれた時期を経てきた結果であり、合併前との比較は無意味かもしれない。だが、合併合意時から、「“1+1=2”ではなく“1+1=1”になる」と業界内でからかわれ続けてきたことが、半ば現実となりつつあるのも確かだ。

 合併当初に構造改革のゴールとして掲げた「通期最終黒字化」を達成ししつある2015年は、ルネサス エレクトロニクスの真価が問われることになりそうだ。

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