レビュー
どこまで同じ? iPad mini 2とiPad mini 3:製品解剖
Appleのタブレット端末「iPad mini 3」は発売当初から、前世代の「iPad mini 2」と仕様がほとんど変わらないといわれてきた。中身、つまりメインボードに搭載されている部品なども変わらないのだろうか。iFixitの分解データを基に比較してみる。
Appleが2014年10月に発表した「iPad mini 3」。ざっと仕様を見ても、前世代の「iPad mini 2」に比べて、指紋認証センサーが搭載されている以外はほとんど変わらない。「どこが違うの? 買う意味はあるの?」と思った人も少なくないだろう。
「本当にどこが違うの?」というわけで、今さらながら中身を比較してみたい。
まずはiPad mini 3、iPad mini 2の主な仕様である。
iPad mini 3 | iPad mini 2 | |
---|---|---|
容量 | 16GB、64GB、128GB | 16GB、32GB |
プロセッサ | A7+コプロセッサM7 | A7+コプロセッサM7 |
ディスプレイ | 7.9インチRetina 326ppi |
7.9インチRetina 326ppi |
サイズ | 高さ200mm×幅134.7mm ×厚さ7.5mm |
高さ200mm×幅134.7mm ×厚さ7.5mm |
カメラ | 5Mピクセル(背面) | 5Mピクセル(背面) |
Touch ID | 指紋認証センサー | ― |
センサー | Touch ID、3軸ジャイロ、加速度、光 | 3軸ジャイロ、加速度、光 |
※2015年1月時の仕様 |
え……今さらだが、本当に指紋認証センサーしか変わらない?
メインボード
モバイル機器の修理マニュアルを提供するiFixitが分解を行っているので、それを基にメインボードに搭載されている部品を見ていこう。
「iPad mini 2」
- 赤:プロセッサ「A7」。「iPhone 5s」に搭載されているものと同じ部品番号が刻印されている。A7のパッケージ内には、エルピーダメモリの1GB LPDDR3 DRAMが搭載されている
- オレンジ:モーションコプロセッサ「M7」。NXP Semiconductorsの「LPC18A1」である
- 黄:東芝の16GB NAND型フラッシュメモリ。「THGBX2G7B2JLA01」の刻印がある
- 緑:STMicroelectronicsの加速度センサー/角速度センサー。「iPad Air」に搭載されているセンサーと同じものである
この他にも、
- フェアチャイルドセミコンダクターのMOSFET
- Appleの「338S1199」(おそらく、オーディオアンプ)
- Appleの「338S1213」(Cirrus LogicのオーディオCODEC)
- Appleの「343S0656-A1」(おそらく、Dialog Semiconductorの電源管理IC)
などが搭載されている。
「iPad mini 3」
- 赤:「A7」。パッケージ内にはSK Hynixの1GB LPDDR3 DRAM「H9CKNNN8KTARKR」が搭載されている
- オレンジ:SK Hynixの16GB NANDフラッシュ「H2JTDG8UD1BMR」
- 黄:Universal Scientific IndustrialのWi-Fiモジュール「339S0213」
- 緑:Appleの「343S00004-A1」
- 青:NXP SemiconductorsのNFCコントローラ「65V10」
- 赤:モーションコプロセッサ「M7」。NXP Semiconductorsの「LPC18A1」
- オレンジ:Appleの「338S1213」(Cirrus LogicのオーディオCODEC)
- 黄:Appleの「338S1199」(おそらくはオーディオアンプ。iPad mini 2の「338S1077」と同様である)
- 緑:フェアチャイルドセミコンダクターのMOSFET
- 青:NXP SemiconductorsのディスプレイインタフェースIC「1610A1」
メインボードの部品も、NANDフラッシュが東芝からSK Hynixに変わっているものの、その他はたいして変わらないようだ。
というわけで、今さらだが、iPad mini 3とiPad mini 2は中身までほとんど同じだった。指紋認証機能が欲しいか欲しくないか。本当にそれだけなのかもしれない……。
なおiFixitは、メインボード以外の画像も分解過程とともに掲載している。iPad mini 3はこちらから、iPad mini 2はこちらから見ることができる。
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