過去最高売り上げのApple、スマートウオッチは2015年4月に発売:ビジネスニュース 企業動向
「iPhone 6」が好調で、四半期の売上高が過去最高となったApple。業績発表の場でCEOのTim Cook氏は、「Apple Watch」の発売が2015年4月になると言及している。
Appleは2015年1月27日(米国時間)、2015年第1四半期(2014年10〜12月期)の売上高が過去最高を記録したと発表した。「iPhone」の売上高が、特に米国外で力強く伸びたという。Appleに詳しい観測筋によると、同社は今後、豊富な資金を元手に、モバイルセキュリティやグラフィックスなどを手掛けるさまざまな新興企業の買収を加速させていくのではないかと見られる。
Appleの2015年第1四半期の売上高は、前年同期比30%増となる746億米ドルだった。1四半期当たりの純利益も過去最高となる180億米ドルで、2015年第1四半期末の時点で1780億米ドルの現金を保有していたという。同四半期の売上高全体のうち、米国外での売上高が65%を占める。またiPhoneの出荷台数は、前年同期比で46%増となる7450万台に達した。
AppleのCEO(最高経営責任者)であるTim Cook氏は、「iPhoneの今後の成長見通しは極めて明るいと確信している。iPhoneが世界最高のスマートフォンであることを、市場が証明してくれた。2015年第1四半期におけるiPhoneの新規顧客獲得数は、過去最高を記録した」と述べている。
AppleのCFO(最高財務責任者)であるLuca Maestri氏は、「iPhoneシリーズの売上高は、米国で44%増、ブラジルやシンガポールでは前年比2倍の増加を記録している。最も人気なのは『iPhone 6』だ」と述べる。同氏によると、iPhone 6は、前機種3世代に比べて、Androidスマートフォンからの乗り換え率が最も高かったという。まだ、スマートフォンのWebトラフィック全体に占めるiPhoneの割合は53%に達するとしている。
技術コンサルティング企業のCreative Strategiesでプレジデントを務めるTim Bajarin氏は、EE Timesのインタビューに対し、「Appleが世界各国において、かなり高い関心を集めていることが分かる。特に、中国における同社の売上高は、前年比70%増を記録した。2015年第2四半期(2015年1〜3月期)には、Huaweiの売上高を上回る可能性もある。これが実現すれば、驚異的な成長となるだろう。Appleは最終的に、新たな分野として、新興市場の開拓に取り組むのではないだろうか」と述べる。
「Macintosh(マッキントッシュ)」についても、出荷台数が550万台、売上高は2014年比で14%増となる69億米ドルに達した。また、「iPad」の出荷台数は214万台で、在庫が110万台増加している。eコマース市場では、タブレット端末によるトランザクション全体の82%が、iPadを使って行われているという。
Apple Watchの発売も大きな要素に
業績発表の場でCook氏は、「Apple Watchの発売は2015年4月」と言及した。Bajarin氏は、「『Apple Watch』を(予定通り)4月に出荷できれば、売上高は増加が続くだろう」と述べる。同氏は、Apple Watch発売後の1年間で、2300万台が出荷されると予想している。
IBMとの提携を生かす
Cook氏は、「特に注目しているのは、今後エンタープライズ向けiPadが企業の労働環境をどのように変えることができるのかという点だ。これを実現するには、単なる表計算ソフトではなく、特定の業務に向けた専用アプリを導入していく必要がある」と述べる。
同氏は、クラウドや分析などに対応するエンタープライズ向けアプリケーションを開発していく上で、IBMとパートナーシップを構築したことについても触れた。この提携により、まず最初に銀行や小売店、金融サービスなどに向けて、10種類のアプリを作成する予定だという。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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