三菱電機、売上高5兆円に向けた成長戦略の要を披露:ビジネスニュース 企業動向(2/2 ページ)
三菱電機は、研究開発成果披露会で17件の研究成果を紹介した。「企業の成長をけん引する事業のさらなる強化」に向けて、短期的な技術案件から長期的な研究案件まで、幅広いテーマで研究開発に取り組んでいる。
3つのカテゴリで開発成果をデモ展示
会見場に隣接した会場では、3つのカテゴリに分けて17件の開発成果を展示した。このうち、「太陽光発電向けシステム安定性向上技術」、「工作機械向け工具位置の制御技術」、「将来の工場に向けたIoTファクトリコントローラ」など7件が初公開された研究成果である。
太陽光発電向けシステム安定性向上技術は、DC(直流)回路の接続不良などによるDCアークの発生回路を早期に特定し、故障している回路のみを瞬時に遮断する技術である。従来は、故障箇所の特定に時間がかかり、その間はシステム全体を休止させる必要があったという。今回開発した技術を用いると、0.25秒以下で故障箇所を検出し、その部分だけ瞬時に遮断することができるため、発電量の低下を最小限に抑えることが可能になるという。
工作機械向け工具位置の制御技術は、数値制御装置(CNC)を使った加工において、目標の工具経路から工具の位置ずれを推定し、そのデータに基づき工具のずれを補正するという。これまでは指令した工具位置と実際の工具位置の誤差を補正していた。従来方式に比べて新たに開発した技術を用いると、補正動作が小さくなり振動を抑えることができるため、結果的に加工時間を約10%短縮できるという。
将来の工場に向けたIoTファクトリコントローラは、クラウド接続ユニットとデータ収集ユニットで構成される。大規模製造ラインでは、データ収集ユニットを増設することで処理能力を拡張することができるという。クラウド接続ユニットは、暗号技術を活用したデータ通信や、外部からシステムへのアクセス制限などが設定できる。これにより、工場のIoTデータを安全にクラウド接続することができるという。
上記以外でも、「粒子線治療装置(陽子タイプ)向け多機能照射ノズル」や「レーダーによる津波監視支援技術」「車内音声通話の雑音除去技術」「途上国の暮らしに向けたコンセプトモデル」などの開発成果を初めて披露した。
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