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ルネサスの最新半導体ソリューション(4)――長期供給期限をWebに明示、産業用・汎用製品の5割を突破:福田昭のデバイス通信(6)(2/2 ページ)
稼働期間が十数年におよぶようなシステムの場合、保守部品の調達は常に大きな懸念点となる。最近は、供給期間をWebサイトなどで明示する半導体メーカーが増えてきた。ルネサス エレクトロニクスは、こうした取り組みを積極的に進めている。
長期供給の「保証」ではなく、「予定」であることに留意すべき
ただし、PLPのWebサイトに掲載されているのは、ルネサスが長期供給を予定している製品に限られる。全ての製品が掲載されているわけではない。もう少し詳しく述べると、産業用製品あるいは汎用製品、自動車用製品であること、市販品であること(特定顧客向けでないこと)、生産ラインが長期供給に適していること、といった条件を満足する必要がある。
また、PLPのWebサイトに掲載されている供給期間は「保証」ではない。「供給状態の維持に務める」期間である。リスクが存在することは留意しておくべきだろう。
ルネサスは民生分野向けの製品から撤退するとともに、産業分野と自動車分野に向けた製品に注力している。言い換えると、新製品はほぼ全て、PLPの対象になり得る。
2015年1月時点では、Webサイトに掲載している産業用製品と一般向け製品の約53%がPLPに登録されている(自動車用製品のPLPは2015年4月以降に始める予定)。品種数で表現すると、マイコンが6510品種、SoCが2品種、パワーデバイスが2093品種、ミックスドシグナルデバイスが431品種、化合物デバイスが753品種である。合計では9789品種に達する。ルネサスによると、この品種数はPLPと同様の取り組みを手掛けている競合他社に比べ、はるかに多いという。
(次回に続く)
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