ルネサスの最新半導体ソリューション(5)――デュアルコア対応の開発環境とGUIベースのコード生成ツール:福田昭のデバイス通信(7)(2/2 ページ)
今回は、開発環境に関するソリューションを紹介する。複数の開発環境を用意しなくてもマルチコア・マイコンのデバッグが行える統合開発環境や、「RL78」マイコンのプログラムをGUIベースで自動生成するツールなどが展示された。
GUIベースでRL78マイコンのプログラムを自動生成
ルネサスは、「RL78」マイコンのプログラムをGUI(グラフィカル・ユーザー・インタフェース)ベースで作成するソフトウェア開発ツール「Appliet EZ PL for RL78」を出品していた。RL78ファミリの製品「RL78/G10」向けのツールである。この開発ツールを使うと、プログラミング言語の知識があまりなくても、マイコンのプログラムを作れるようになる。
ユーザーは「Appliet EZ PL for RL78」をPCで起動し、アイコン表示された部品(論理回路やタイマー、汎用ロジックなど)をウインドウ内に配置する。次に部品間を配線で接続する。それから、論理信号の動作波形をシミュレーションで検証する。検証が完了したら、「生成ボタン」をクリックする。すると、コンパイル済みのオブジェクト・コードが自動的に生成される。生成されたオブジェクト・コードをフラッシュ・プログラマによってマイコンのフラッシュメモリに書き込めば、ターゲット・ボードによる動作確認を実行できるようになる。
マイコンの初期設定を簡素化する「コード生成プラグイン」
またデブコン大阪では「クリック1つでかんたんマイコン初期設定、開発工数を大幅削減」とのタイトルで、マイコンの初期設定を簡素化するツール「コード生成プラグイン」を実演してみせていた。RL78ファミリの「R78/F1xシリーズ」や「R78/G1xシリーズ」など、RXファミリの「RX100シリーズ」や「RX600シリーズ」などに対応する。
「コード生成プラグイン」は、ルネサスの統合開発環境「CS+」および「e2 studio」に含まれている。マイコンの初期設定を支援するとともに、マイコンの周辺機能に割り当てるピンの競合をチェックし、マイコンの周辺機能を動かすデバイス・ドライバ・ソフトウェアを自動生成する。展示ブースではRXファミリの製品「RX111グループ」を事例として、実際の操作を見せていた。
このほか「エコシステム」のコーナーでは、新型トランジスタ技術「薄型BOX-SOI(SOTB)」を展示していた(関連記事:ルネサス、2015年度内にSOTB採用マイコンを製品化へ――消費電力1/10以下、0.4V駆動品も可能に)。0.4Vと低い電源電圧で動作する低消費電力マイコンを実現できる技術である。
(次回に続く)
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